2017 Fiscal Year Research-status Report
多点観測を用いた磁気嵐中のリングカレント酸素イオン増加の時間空間変動に関する研究
Project/Area Number |
17K14400
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
桂華 邦裕 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (10719454)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 磁気嵐 / リングカレント / 電離圏起源イオン / サブストーム / イオン輸送、加速 / あらせ衛星 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、交付申請書の「研究の目的」に記載した課題①「磁気嵐中の内部磁気圏酸素イオン圧の空間分布と磁気嵐規模に対する寄与」について、「研究計画・方法」の手法Iを用いて調査した。イオン圧に寄与するイオンのエネルギー帯(寄与エネルギー帯、数keVから約100 keV)を十分にカバーし、時間分解能が過去の観測よりも非常に高い(約8秒)、あらせ衛星搭載MEP-i粒子検出器で得られた水素イオンおよび酸素イオンのデータを用いた。 具体的には、あらせ衛星がこれまで観測した6つの磁気嵐の主相と初期回復相における、水素および酸素イオンのエネルギー密度の空間分布(主に動径方向)を調べた。次に、エネルギー密度比(O+/H+比)が、磁気嵐規模の指標であるDst指数とどのような関係があるかを調査した。得られた成果は以下の通りであり、研究代表者はこれらを国内外の研究集会で発表した。 (1) 深内部磁気圏に位置する高プラズマ圧領域の地球側境界では、磁気嵐規模によらずO+/H+比が高い(1より大きい)。 (2)より遠い内部磁気圏(静止軌道付近)では、O+/H+比の時間変動が深内部磁気圏に比べ大きい。 (3) O+/H+比はDst指数SYM-H指数と相関は低い。 (1)はドリフト輸送中の電荷交換反応に伴う消失率の差異、(2)はサブストームに伴う短時間スケールの輸送・加速現象がそれぞれ原因であると考えられ、数値計算も含めて調査を継続している。(3)は時間分解能の低い過去の観測とは異なる結果であり、O+イオンの選択的・優先的加速を解明する上で非常に興味深く、事例解析と統計解析の両面から調査を継続している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した課題①を予定通り実施し、興味深い結果が得られたため、より詳細な継続研究を課題②と並行して進めている。
|
Strategy for Future Research Activity |
交付申請書に記載した課題②を手法IIを用いて取り組む。Van Allen Probes衛星で観測された磁気嵐現象はすでにリスト化しており、すぐにデータ収集を始めることができる。
「研究実績の概要」に示した本年度の成果が、イオンのエネルギーや断熱不変量によってどのように異なるか調査する。イオン圧に寄与するエネルギー帯では粒子ドリフト速度のエネルギー依存が大きいので、今年度に得られたイオン圧の特徴にはエネルギー依存する可能性が十分に考えられる。交付申請書には具体的には記載していないが、本研究課題に密接に関係するため、課題②と並行して調査を行う予定である。
|
Research Products
(2 results)