2018 Fiscal Year Annual Research Report
Mechanism of unusual spin state transition involving a polyhedral transformation and exploration for new exotic phenomena
Project/Area Number |
17K14466
|
Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
辻本 吉廣 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 機能性材料研究拠点, 主任研究員 (50584075)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 酸フッ化物 / 圧力誘起スピン転移 / コバルト / 層状構造 / 高圧XRD / 酸塩化物 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究に先立って,高圧合成によって得られた酸フッ化物Sr2CoO3Fが圧力誘起のスピンクロスオーバー現象を示すことを本課題申請者らは報告した.圧力と共に高スピン状態が徐々に低スピンに変化し,12 GPaで完全にすべてのCo3+イオンが低スピンに転移する.さらに興味深い点は,Coの配位環境は低圧側では5つの酸素に囲まれた5配位状態であるが,圧力とともにF原子との共有結合を伴った6配位へと変換する.以上の報告をもとに,本研究で最初に取り組んだ研究内容はハロゲン原子置換のスピン転移現象への影響である.フッ素を塩素に置き換えた類似物質Sr2CoO3Clを合成し,高圧XRD測定を行った.その結果,酸フッ化物相のときと同様に,12-13 GPa付近で低スピン状態への転移を示唆する異常が見られた.酸フッ化物相との大きな違いは転移圧力において体積の明確な飛びが生じている点である.スピン状態がどのように変化しているか調べるためにはX線発光or吸収測定を行う必要があるが,転移圧力前後で体積弾性率が79.8(11) GPaから103(2) GPaへと大きく上昇していることから,酸フッ化物相と同様に高スピンから低スピンへ連続的に変化していると推察される.この研究とは別に,Sr2CoO3FのSr-to-Ca置換により中間スピン状態が安定化されるという理論計算結果が報告された.それを基に,中間スピン相の出現が期待されるSr1.7Ca0.3CoO3Fの合成を行い,X線吸収測定を行った.その結果,計算結果に反し,Coの配位スピンは強固に維持されていたことが分かった.ただし,Ca置換により反強磁性転移温度は320 Kから250 Kまで大きく減少することを見出した.
|
Research Products
(11 results)