2017 Fiscal Year Research-status Report
光音響トモグラフィのための光音響特性解析モデルの構築
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17K14597
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Research Institution | Gunma Prefectural Industrial Technology Center |
Principal Investigator |
川原 潤也 群馬県立産業技術センター, その他部局等, 技師 (30792444)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 光音響 / 音響波 / 生体イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、光音響効果を利用した生体可視化技術の理論的基盤の整備を目的としており、生体組織の光音響特性値の高精度な定量評価を可能にする新しい解析モデルの構築を目指している。平成29年度は、連続媒質中の散乱体の存在が音響波の伝播に及ぼす影響の調査に主眼をおき、以下に示す理論解析と数値解析を実施した: 1.連続媒質中に離散的に存在する散乱体が音響波の伝播に及ぼす影響を調べるため、水中に分散する気泡と圧力波の干渉を解析した。本研究では、散乱体として初期静止状態にある複数の球形気泡を想定しており、それらの気泡の振動が平面進行波によって誘起される問題について理論解析と数値解析を実施した。解析においては、相互作用しながら振動する多数の球形気泡の運動方程式を用いており、気泡振動によって生じる圧力波が入射波の位相に及ぼす影響を調べた。また、気泡振動の影響を受けながら伝播する圧力波の位相速度を数値的に解析した(川原ら、日本流体力学会年会2017)。解析結果から、モノポール音源として離散的に存在する複数の気泡が、その周囲に連続的な音響特性を作り出すメカニズムを解明するに至った。 2.上記1の解析結果を踏まえて、光の吸収によって熱膨張し、音響波を放射する光吸収体の解析モデルの検討を行った。本研究では、相互作用する多数の気泡の振動理論のアナロジーを用いて、複数の光吸収体間における相互作用の取り扱いを可能にする解析モデルの構築に取り組んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度においては、離散的に存在する散乱体がその周囲に連続的な音響特性を作り出すメカニズムを解明したことが大きな成果であった。光吸収体の解析モデルの構築については、平成30年度も引き続き検討を進める。
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Strategy for Future Research Activity |
1.平成29年度に引き続き、光吸収体の解析モデルの構築に注力する。 2.平成29年度に得られた研究成果の公表に向けた準備を進める。
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Causes of Carryover |
使用計画の一部変更により、大規模計算用ワークステーションの購入が延期となったため、次年度使用額が生じた。平成30年度に当該ワークステーションを購入する予定である。
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Research Products
(2 results)