2023 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidating the 3D Genome Landscape
Project/Area Number |
17K15050
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
菅原 武志 高知大学, データサイエンスセンター, 特任講師 (60713005)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ゲノム構造 / 数理モデリング / シミュレーション / データ駆動 / クロマチン動態 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究期間内に関連論文4報が発表されたが、アルゴリズムの改良に努めたものの、本計画の核心部分は当初の予定通り進行しなかった。最終年度後半には既存のアルゴリズムを見直し、新たな知見を基に改良を行い、新しい推定手法を開発して学会発表を実施した。 研究代表者は染色体構造のデータ駆動型モデリングを基にシミュレーションプラットフォームを構築し、ゲノム構造の推定を行った。過去の共同研究で得られた実験データとの整合性を確認し、妥当性を検証した。計算リソースの不足を補うため、新たな計算機を購入してデータ集積速度を向上させた。 サンプリングした構造の標本集団から複数のゲノム構造を推定し、3D構造のクラスタリングにより類似構造に分類、推定されたゲノム構造から有効自由エネルギー地形の構築を試みた。さらに、構造の複雑さによる計算収束問題を解決するため、正解に近い初期値を探索しアルゴリズムを改善した。また「複数構造の概算手法」を考案し、数値結果と比較した。 しかしながら、集団平均のデータを用いる限り、構造サンプリングの本質的な問題解決は難しいことを実感した。この経験を基に、最終年度後半には単一細胞データと生成モデルを用いたゲノム構造推定という新たなテーマに研究を進展させた。この手法では、単一細胞ごとのゲノム構造が推定されるため、3D構造のクラスタリングによりデータ集団を類似構造に分類することが可能になる。単一細胞実験は取得データ数が少ないのが欠点だが、生成モデルによりデータを増やすことでその弱点を補う。これにより、本テーマはゲノム構造推定の新たなフェーズに発展し、進捗結果の学会発表を通じて研究成果を広く共有することができた。 したがって、期間内の研究遂行により、本計画の核心部分は当初の予定通り進行しなかったものの、新たな研究分野への展開も見据えた重要な成果を上げることができた。
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