2019 Fiscal Year Annual Research Report
Genome analysis of symbiotic cyanobacteria seen in pelagic dinoflagellates
Project/Area Number |
17K15164
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中山 卓郎 東北大学, 生命科学研究科, 助教 (70583508)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 細胞共生 / シアノバクテリア / 渦鞭毛藻 / 微生物生態 |
Outline of Annual Research Achievements |
多様な単細胞性真核生物が、共生したシアノバクテリアをオルガネラのように使役し、光合成などの代謝能力を利用していることが、近年の研究より明らかとなりつつある。渦鞭毛藻類も、細胞にシアノバクテリアを共生させているものが100年以上前から知られていた。しかし、材料の希少さから研究は進んでおらず、共生体の役割や共生関係の実態については明らかでない。そこで本研究は、渦鞭毛藻に共生するシアノバクテリアのゲノム解読を通じて、当該共生体の役割および進化を解明することを目的としている。 昨年度までに渦鞭毛藻Ornithocercus magnificusのシアノバクテリア共生体(以下OmCyn)についてゲノム解析を行い、OmCynはこれまで知られていなかった、海洋シアノバクテリアの独立した一系統であること、そのゲノムは明らかに縮退していることを明らかにした。さらに、メタバーコーディング解析によってOmCynは世界中の海域に広く分布するが、常にO. magnificusと共生した状態で生育していることが示された。今年度はO. magnificusとは異なる系統の渦鞭毛藻Histioneis depressaの共生シアノバクテリア(以下HdCyn)に関して解析を行った。OmCynと同様にHdCynについてゲノム解析を行ったところ、HdCynはOmCynとは異なる系統のシアノバクテリアであり、光合成に加えて窒素固定を行っていることが示唆された。またHdCynのゲノム配列を既知のシアノバクテリア配列と比較したところ、海洋自由生活性のシアノバクテリアCrocosphoaera属と非常に近縁であることが示された。さらにメタゲノム解析からH. depressaとHdCynの共生関係は比較的緩く、HdCynが共生せずに自由生活が可能であることが示唆された。
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