2018 Fiscal Year Research-status Report
送粉者シフトを介する生態的種分化はどのような環境で進行するか？
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17K15186
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| Research Institution | Osaka Museum of Natural History |
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Principal Investigator |
長谷川 匡弘 大阪市立自然史博物館, 学芸課, 学芸員 (80610542)
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| Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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| Keywords | ポリネーターシフト / 生態的種分化 / 訪花昆虫 / ママコナ属 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
ママコナ属では極端に長い花筒を持つ集団と、それとは逆に短花筒を持つ集団が知られているが、これらの集団がどのような環境の下で進化してきたのか明らかにすることが本研究の目的である。この目的の達成のために1）長花筒の集団と短花筒の集団で訪れる昆虫類にどのような違いがあるか、2）生育地周辺の訪花昆虫相に違いはあるか、3）長花筒集団と短花筒集団はどのようなママコナから派生してきたのか、4）花筒の変化に加えて、変化している形質はあるか、の4点について調査を行う。
平成30年度は高知県の長花筒集団及びその近隣のシコクの自生地における訪花昆虫調査を実施予定であった。また、長野県の短花筒集団については、30年度前半に長野県のママコナ属標本を閲覧し、現地予備調査を実施する予定であった。高知県のママコナ属調査に関しては、台風等の悪天候により実施することができなかったが、本年度に実施を予定している。また、長野県の短花筒集団については、予定通りに進行し、標本調査、現地予備調査ともに完了し、国立公園特別保護地区での採取申請等の許可手続きを実施中である。標本調査に関しては、30年度で予定したもののすべてが完了した。
DNA解析については、日本産ママコナ属に関して葉緑体DNAの配列を用いて系統解析を行い、種間の系統関係の概要を明らかにできた。コアレセント解析による各集団の分岐年代の推定については、次世代シーケンサーを用いて行い、専門機関に委託する予定であったが、30年度は予備実験のみの実施となった。
ママコナ属の生育地周辺での訪花昆虫相の把握（訪花昆虫環境調査）および、蜜量等調査は、予定していた調査時期に悪天候が重なり、ほとんど実施できなかった。平成31年度にはこの二つの調査を中心に実施予定である。
なお、平成30年度までの成果については、第66回日本生態学会で公表した。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
標本調査によるママコナ属の分布状況把握については、平成30年度でほぼ完了した。平成29年度に未実施だった長野県2施設で標本閲覧を行い、長野県植物誌でミヤマママコナの高山型（f. alpina）（短花筒集団）と記載のあった標本・採集地について確認ができた。また、周辺地域のミヤマママコナの分布状況・生育地についても情報を得ることができた。ミヤマママコナ高山型については、令和元年以降の訪花昆虫調査実施のために現地踏査を実施するとともに、採取等の許可手続きを行った。
ママコナ属のサンプリング及び訪花昆虫調査については、長花筒集団であるイセママコナの探索は平成30年度も実施したが確認できなかった。今後は、平成29年に高知県で確認されたイセママコナの記載に該当する特異な集団について調査を進める予定である。この高知で確認された集団については、平成30年度に訪花昆虫調査を実施予定であったが、調査期と悪天候が重なり実施できなかった。
葉緑体DNA解析については、平成30年度も概ね予定通りに進行した。令和元年度には、九州南部のサンプルを追加し、あと数領域で解析を実施予定である。
蜜量等の調査については、平成30年度にも実施する予定であったが、調査期と悪天候が重なり、実施することができなかった。
調査集団として、新たにミヤマママコナの高山型として記載のあった集団を追加でき、生育地も特定できたことは成果だったが、今年度予定していた訪花昆虫調査、蜜量調査等は悪天候のためほとんど実施できなかった。このことから、平成30年度に実施予定であった計画に対して、現状はやや遅れている状況であると判断した。
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| Strategy for Future Research Activity |
悪天候が重なったため訪花昆虫等の調査は遅れているものの、当初調査予定であった集団については、いずれもその生育地を特定でき、生育状況も確認できた。また、調査許可関係の手続きに関しても現在順調に進行している。今年度は、長花筒集団及び短花筒集団の訪花昆虫調査を中心に実施していく予定である。
今年度はこれまで実施できていなかった高知県の長花筒集団及びその近隣のシコクママコナの自生地における訪花昆虫調査を実施予定である。また、長野県の短花筒集団についても、同様に調査を実施予定である。並行して、紀伊半島南部のオオママコナ及びシコクママコナ集団、高知県の長花筒集団及びその近隣のシコクママコナ、長野県の短花筒集団で蜜量計測を行う。
DNA解析については、引き続き、日本産ママコナ属に関して葉緑体DNAの配列を用いて系統解析を行い、種間の系統関係を明らかにする。平成30年度に実施したものに、九州南部などそれ以降に追加したサンプルを加えて実施する。また、複数の核遺伝子領域のDNA配列を用い、コアレセント解析による各集団の分岐年代の推定を行う。この解析は次世代シーケンサーを用いて行い、専門機関に委託する予定である。
今年度の成果については、平成31年3月に実施される日本生態学会において成果の公表を行う予定である。
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| Causes of Carryover |
今年度予定していた訪花昆虫調査が悪天候のため実施できなかったため。また、DNAの解析委託に関しても予定より遅れており、年度中には実施できておらず、来年度実施としたため。
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