2018 Fiscal Year Research-status Report
Isotopic study on interaction between nitrogen deposition, retention, export in forested watersheds.
Project/Area Number |
17K15288
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
尾坂 兼一 滋賀県立大学, 環境科学部, 助教 (30455266)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 窒素化合物 / 集水域 / 安定同位体比 / 物質循環 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は前年度からおこなっている滋賀県南部の桐生水文試験地のM、A、R、H、K集水域における渓流水、林内雨の月1回の頻度での採水を継続し、その試料水から硝酸イオン、アンモニアイオンを含む各種イオン濃度、硝酸イオンの窒素・酸素安定同位体比の測定を行った。また、2018年度に行った降雨時渓流水採取の444サンプル全てについて、各種イオン濃度、硝酸イオンの窒素・酸素安定同位体比の測定を行った。 各集水域おける林内雨による窒素の流入量について、2017年5月から2018年5月までの1年間でM、A、R、H集水域に林内雨として供給された硝酸イオン、アンモニウムイオンの合計はそれぞれ15.7 kgN/L、12.7 kgN/L、11.8 kgN/L、12.2 kgN/Lであり、M集水域で少し高かったものの大きな違いはなかった。 1降雨で流出する硝酸イオンのうち大気降下物由来の硝酸イオンの割合はM、A、R、H、K集水域でそれぞれ13.7、14.6、8.9-12.0、19.6-26.8、9.0-14.8%であり、集水域ごとに異なっていたが、大気降下物由来の硝酸イオン流出両自体は流域に関係なく、流出水量に依存して増加した。また直接流出量が3.2 mm以下の場合や直接流出量が12%以下の場合はほとんど大気降下物由来の硝酸イオンの流出は見られなかった。2017年度の土壌調査の結果では土壌中の硝酸イオンの生成速度はA=M>R=Hであり平水時、降雨時の渓流水中の硝酸イオン濃度もこれと同様の傾向であったが、集水域からの大気降下物由来の硝酸イオン流出は、これら土壌中の窒素動態にあまり影響を受けておらず、土壌中の水の流れ方に影響されている可能性が高いと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本申請で設けた研究目的の達成のためには、設定した5集水域における平水時、降雨時の渓流水質調査、窒素流入量、土壌調査が必要不可欠である。その全てにおいて観測機器の設置、調査の開始、試料の採取、分析を2017年度に開始できており、2018年度は採取したサンプルの分析の分析も進みデータの蓄積を行うことができたので「おおむね順調に進展している。」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
上記のように2017、2018年度はおおむね順調に研究を進めることができた。そのため今後の研究推進方策は申請書の計画どおり渓流水質調査、降水質調査、壌調査、解析を引き続き行う。また、それぞれの集水域における土壌中の窒素動態、蓄積量と流出窒素量の関係に関する解析も行い、研究のまとめを行う計画である。
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Causes of Carryover |
化学分析用試薬、器具の購入が想定量よりも少なく消耗品費を中心に余剰が生まれた。本年度は英語での論文を執筆を予定しているので、余剰金はその英文校閲費や投稿料に当てる
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