2018 Fiscal Year Annual Research Report
Physiological and molecular analysis of cysteine hydropersulfide produced by cysteinyl-tRNA synthetase in yeast
Project/Area Number |
17K15408
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
西村 明 東北大学, 医学系研究科, 助教 (30781728)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 活性イオウ分子 / 出芽酵母 / 寿命 |
Outline of Annual Research Achievements |
29年度では、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)における活性イオウ分子:システインパースルフィド(CysSSH)産生系が哺乳類や細菌類と同様であり、cysteinyl-tRNA synthetase(CARS)によってピリドキサールリン酸(PLP)依存的に産生させることを見いだした。本年度は、まずCRISPR/Cas9システムを用いて、CARSに変異(PLP結合部位のリジンをアラニンに置換)を導入し、細胞内CysSSH含量が低下した変異株を作製した。この株の表現型を解析したところ、経時寿命が顕著に減少していることを見いだした。また、低下した寿命は活性イオウドナー(Na2S2、酸化型システインパースルフィド、酸化型グルタチオンパースルフィド)の添加によりほぼ完全に回復することも見出した。変異体の短寿命の原因を解析したところ、変異体において、ミトコンドリアのエネルギー代謝や小胞体ストレスに異常が起こっていることが判明した。加えて、多細胞生物のモデルである線虫(Caenorhabditis elegans)のCARS変異体においても野生株に比べて寿命の短縮が観察された。これらの結果から、CARSによって産生されるCysSSHは内因性の寿命制御因子であることが考えられた。今後、CysSSHによる寿命制御機構を解明することで、ヒトの抗老化戦略の構築のみならず、エネルギー代謝異常が関わる各種疾患(ミトコンドリア病、生活習慣病、がん等)の発症機構の理解と予防・治療法の開発に大きく寄与することが期待される。
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