2017 Fiscal Year Research-status Report
Screening for cancer stem cell-targeted dinuclear platinum(II) complex
Project/Area Number |
17K15436
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Research Institution | Suzuka University of Medical Science |
Principal Investigator |
植村 雅子 鈴鹿医療科学大学, 薬学部, 助教 (70511997)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 白金錯体 / 抗がん剤 / シスプラチン耐性がん / グルタチオン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、in vivo腫瘍縮小効果が認められているテトラゾラト架橋白金(II)二核錯体(テトラゾラト架橋錯体)の作用機序を明らかにし、より有効な次世代白金制がん剤の候補化合物の創出に繋げることである。研究代表者らは、テトラゾラト架橋錯体が還元型グルタチオン(GSH)による解毒を受けにくく、シスプラチンに対して耐性を示すがんや、がん幹細胞に対しても有効である可能性を見出している。そこで、本研究において、1H-NMRを用いてテトラゾラト架橋錯体と二当量のGSHの反応を経時的に観察したところ、生理的条件下において、テトラゾラト架橋錯体は、シスプラチンより遅くGSHと共有結合性付加物を形成することが示唆された。続いて、細胞内GSHレベルの異なる細胞に対するテトラゾラト架橋錯体のin vitro細胞毒性を調べるため、細胞内GSHレベルを変化させた細胞を準備した。まず、細胞内GSHレベルが高い細胞(GSH-rich細胞)の作製のため、HCT116ヒト大腸がん細胞において、シスタチオニンβ合成酵素(CBS)遺伝子のノックダウンを試み、CBS遺伝子のノックダウン効率をウェスタンブロットによって確認した。本法により細胞内GSHレベルが増加することが報告されている。現在までに、抗体の不具合等により、CBS発現量に関する結果は得られていない。GSH-rich細胞の作製と並行して、細胞内GSHレベルが低い細胞(GSH-poor細胞)を得るために、L-Buthionine (S,R)-sulfoximine(BSO)の暴露条件の検討を行った。BSOは細胞内GSHレベルを低下させることが一般的に知られている。比色法によって細胞内GSHの定量を行ったところ、細胞内GSHレベルを低下させるのに適したBSOの暴露条件を決定することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
生理的条件下におけるGSHとの反応性に関する解析は、おおむね順調である。一方で、細胞内GSHレベルのin vitro細胞毒性に対する影響を調べる実験では、ノックダウンに関する好ましい結果が出ず、当初計画より時間を要しているため、やや遅れているとした。しかし、当初計画に加えて、BSO 暴露によるGSH-poor細胞の準備も進めることとし、BSOの暴露条件の最適化ができた。また、引き続き、GSH-rich細胞を得るための条件検討を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
GSH-rich細胞を得るための条件が確立され次第、GSH-rich細胞を用いて、一連のテトラゾラト架橋錯体の in vitro細胞毒性および細胞内蓄積量を明らかにする。また、GSH-poor細胞においても同様の実験を行い、GSHとの反応性に関する解析結果と合わせて、総合的に、テトラゾラト架橋錯体のGSHによる解毒の受けやすさを評価する。さらに、細胞内GSH濃度が高いことが知られているがん幹細胞を用いて、テトラゾラト架橋錯体のがん幹細胞に対するin vitro細胞毒性評価も並行して行う。
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Causes of Carryover |
研究成果発表費用が予算額より下回ったため、残高が生じた。次年度の研究成果発表費用に充てる予定である。
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Research Products
(5 results)