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2020 Fiscal Year Research-status Report

エクソソームDDSの安全性の観点からの内容物除去・動態制御技術の開発

Research Project

Project/Area Number 17K15443
Research InstitutionInstitute of Physical and Chemical Research

Principal Investigator

藁科 翔太  国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, 研究員 (30755393)

Project Period (FY) 2017-04-01 – 2023-03-31
Keywordsエクソソーム / Drug Delivery System
Outline of Annual Research Achievements

近年、薬物搭載能、組織標的性などの観点からエクソソームを利用したDrug Delivery System(DDS)の開発が行われているが、安全性の担保が不十分であるケースが殆どである。そこで本研究では、エクソソームDDSの実用化促進を目的として、安全性の向上のためのエクソソーム改変(safe exosome調製)技術の開発を目指している。
エクソソームの内水層に存在するmiRNA等の機能性分子は細胞等の機能調節に寄与しており、エクソソームをDDSとして利用する場合には予期しない副作用が懸念されるため、不必要な内容物を除去する技術の確立が重要であると考えられた。また、生体に投与したエクソソームの血中半減期は非常に短く、標的組織へのエクソソームの送達効率を向上させるために、血中滞留性の向上も必要と考えられた。内容物除去に関しては、これまでにエクソソーム膜の透過処理条件の検討を通して、エクソソームの物理化学的物性(大きさ、表面電位等)や生物学的物性(膜表面タンパク質の発現量や親和性等)にほとんど影響を与えずに内水層の核酸やタンパク質を8割程度除去することに成功した。一方で、血中滞留性の向上に関しては、エクソソームのようなナノ粒子に水和層を形成させる機能素子Polyethylene glycol(PEG)の膜表面への修飾を試み、PEG修飾自体は確認されたものの、上述した内容物除去技術との併用によるsafe exosomeの調製を目的とした場合の物性変化が大きく、エクソソームのDDSキャリアとしての意義が失われる懸念があった。この点に関しては前年度から引き続き検討を続け、PEGの修飾機構や手順の調節により改善が可能であるという示唆を得た。Safe exosome調製後に予定している生体投与時の体内動態、安全性の評価系も並行して構築し、動態評価法に関しては学術会議にて発表した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

本研究は、①エクソソーム内容物を除去する技術の確立、②エクソソームの血中半減期を改善する技術の確立、それらの技術を組み合わせて構築した③safe exosomeの体内動態・安全性評価を、当初3年間で実施する予定であった。これまでの研究活動により、①、②のそれぞれ単体としては技術を確立できたが、両者の技術を組み合わせて調製することを想定していた③safe exosomeに関しては物性の観点から改善が必要であり、内容物除去時のPEG修飾条件を現在も検討中である。ただ、この点の改善の方向性(下述)にある程度目途が立ち、また、並行して模索していたsafe exosomeの体内動態や安全性(免疫応答や炎症反応の程度)の評価系が確立できたことから、今後の研究進展は比較的速くなると考えている。以上から、本研究の進捗状況をやや遅れていると認識している。

Strategy for Future Research Activity

Safe exosome調製時も含め、内容物除去処理後に行うPEG修飾方法として活性化NHSを用いたエクソソーム膜表面への化学的修飾を採用していたが、膜透過処理によるエクソソーム膜表面タンパク質の3次元構造や量の変化に、PEGが膜表面タンパク質と共有結合を形成することによる親和性低下が加わる影響が大きいと判断し修飾戦略を変更した。PEG脂質分子をエクソソーム脂質膜に挿入する方法を採用することで、safe exosome調製時のPEG修飾による膜表面タンパク質の親和性低下が低減されることが明らかとなったため、この方法を基本として、物性、血中滞留性の両面からPEG修飾条件の最適化を行う予定である。
その後、safe exosomeのproof of conceptを取得するため、担がんマウスにsafe exosomeを投与し、これまでに確立した系により体内動態・安全性を評価する。具体的には、ポジトロン放出核種を標識したsafe exosomeのPETイメージングによる薬物動態学的解析、エクソソーム投与時の免疫・炎症応答に大きく寄与することが報告されているマクロファージ・好中球の数・活性化の解析などを実施する。また、DDSの観点から、がん組織をモデルの送達組織と定め、PEG修飾による血中滞留性の向上が組織移行性の向上に寄与しているかどうか評価する。
余裕があれば、本研究で確立するsafe exosomeの調製技術が様々な細胞由来のエクソソームに適用できる汎用的な技術であることを示すため、4種類程度の細胞由来エクソソームを用いて物性面からsafe exosome調製の成否を確認したいと考えている。

Causes of Carryover

当初の計画では、in vitro実験においてsafe exosome調製条件の最適後、in vivo実験においてsafe exosomeのproof of conceptを取得するためにin vivo実験用の動物や試薬等を購入する予定であったが、safe exosome調製条件の検討が長引き、in vivo実験の数が大幅に減少した。それに伴い、使用額も減少した。

  • Research Products

    (1 results)

All 2020

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] PETによるエクソソームの体内動態評価を指向した 膜表面キレーター化学修飾による64Cu標識2020

    • Author(s)
      藁科翔太、造田真希、和田康弘、渡辺恭良、向井英史
    • Organizer
      第60回日本核医学会学術総会

URL: 

Published: 2022-12-28  

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