2018 Fiscal Year Annual Research Report
Adaptation to Environmental stress and quality control of myocardial mitochondria by reactive sulfur species
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17K15464
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
西村 明幸 九州大学, 薬学研究院, 講師 (00457152)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ミトコンドリア品質 / 親電子物質 / 心臓 / ストレス適応 |
Outline of Annual Research Achievements |
ミトコンドリアが細胞内レドックスバランスを認識する機構としてミトコンドリア分裂促進因子Drp1と融合促進因子Mfn1, Mfn2, Opa1の発現および活性を評価したところ、環境親電子物質メチル水銀によるミトコンドリア異常分裂はDrp1の活性化に起因することが明らかとなった。そこでメチル水銀がDrp1の活性を変化させる機構としてDrp1のポリイオウ化修飾に着目した。Drp1は通常ポリイオウ化により活性が抑制されているが、メチル水銀により脱イオウ化することが分かった。一方、硫化水素を添加し細胞内の活性イオウ量を増加させるとポリイオウ化修飾が回復した。Drp1の活性を制御するポリイオウ化部位を変異体解析により評価したところ、Cys624のポリイオウ化で活性が調節されていることが明らかとなった。 次に、ポリイオウ化修飾で活性が調節されるメカニズムについて解析を行った。我々は低酸素刺激依存的なDrp1新規相互作用因子としてアクチン結合蛋白質Filamin Aを同定し、Filamin AはDrp1のGDP/GTP交換因子(GEF)として働くことでDrp1を活性化することを明らかにしてきた。そこでDrp1ポリイオウ化がFilamin Aとの相互作用に与える影響について評価した結果、Drp1 Cys624の脱イオウ化によってFilamin Aとの相互作用が強くなることで活性が調節されていることが明らかとなった。 メチル水銀によりミトコンドリアの過剰分裂が起こった心筋細胞は物理的な伸展刺激に対して脆弱なることが明らかとなった。Drp1 Cys624のポリイオウ化ミミック変異体の導入や硫化水素により細胞内活性イオウ量を増加させることで親電子物質による心筋細胞の物理刺激脆弱性は改善した。このことから、Drp1 Cys624のレドック修飾が心臓のストレス適応に関わることが明らかとなった。
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