2017 Fiscal Year Research-status Report
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17K15635
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
森川 鉄平 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 准教授 (80451772)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 尿路上皮癌 / 微小環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.臨床検体を用いた尿路上皮癌免疫微小環境の網羅的解析 上部尿路上皮癌271症例から組織マイクロアレイを作成し、免疫微小環境に関連する以下のマーカーの免疫組織化学染色を行った。CD3, CD4, CD8, CD20, CD45RO, CD68, FOXP3, PD-L1, B7-H3。免疫染色標本をバーチャルスライドスキャナを用いてデジタルデータとして取り込み、各マーカーの陽性細胞の密度を画像解析ソフトを用いて定量的に測定し、生存解析を行った。複数のマーカーが患者の臨床病理学的特徴や予後と関連していることを見出した。
2.尿路上皮癌細胞株を用いた、化学療法抵抗性因子の探索 細胞外に分泌され癌微小環境を構成する因子が化学療法抵抗性に関与しているという仮説を立て、以下の実験を行った。複数の尿路上皮癌細胞株および間質細胞株の培養上清を採取し、他の細胞株に投与し、ゲムシタビンの効果に変化が見られるかどうかを調べた。細胞増殖はゲムシタビンを投与してから3日後および5日後にMTTアッセイを用いて評価した。ある2種の細胞株の培養上清を加えた時に、ゲムシタビンの効果が著明に減弱しており、これらの培養上清中に分泌される何らかの因子がゲムシタビン抵抗性に関与していることが示唆された。ゲムシタビン抵抗性を与えた培養上清とそのような効果がなかった培養上清計4サンプルにおける分泌因子の発現を抗体アレイによって網羅的に解析したところ、ゲムシタビン抵抗性を与えた培養上清中で特異的に分泌が亢進している因子を複数同定した。現在、それらの因子を投与することでゲムシタビン抵抗性が得られるかどうかの確認実験を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、尿路上皮癌における免疫微小環境を反映する分子マーカーを免疫組織化学および画像解析ソフトを用い網羅的に解析した。また、細胞株を用いた実験で、化学療法抵抗性をきたす分泌因子の候補を複数同定した。
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Strategy for Future Research Activity |
臨床検体を用いた解析では、癌局所における免疫微小環境と、全身の免疫状態を反映する血液中の因子とを統合的に解析する。 細胞株を用いた実験では、昨年度の解析で同定された化学療法抵抗性をきたす分泌因子候補について確認実験を進める。臨床検体を用いた解析にて、その因子の発現が化学療法の効果と相関していたかどうかを検討する。
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Causes of Carryover |
当該年度の実験では、抗体アレイによる分泌因子の網羅的探索を行った。抗体アレイによって同定された複数の候補因子につき、次年度に再現実験を行う。次年度に多数のアッセイを行う必要があり、当該年度所要額の一部を次年度使用額に振り分けた。
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Research Products
(2 results)