2020 Fiscal Year Annual Research Report
Basic research of translocation-associated sarcomas for translocation-targeted therapy
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17K15645
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山田 裕一 九州大学, 医学研究院, 講師 (00597643)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 骨軟部腫瘍 / 遺伝子転座 / 融合遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、粘液型脂肪肉腫133例に対してRT-PCR法およびFISH法によりEWSR1/FUS-DDIT3融合遺伝子が確認された症例をリスト化し、臨床予後および病理組織像と併せて統計学的に解析を行った。核異型、細胞密度、脂肪分化を評価したところ、いずれも臨床予後との相関が認められた。粘液型脂肪肉腫に関しては、融合遺伝子を有する群の中での追加的な遺伝子変異と悪性度との関係性について今後検討を継続する方針である。この検討ではEWSR1/FUS-DDIT3融合遺伝子を有しない症例は抽出されなかった。 また、皮膚粘液腫20例を収集し、病理組織学的にレビューするとともに融合遺伝子の存在を検証した。結果として、AHRR-NCOA2融合遺伝子を有する症例を3例抽出することができ、同3腫瘍は著明なスリット状小血管に特徴づけられる点で他の腫瘍と異なることを明らかにした。AHRR-NCOA2は軟部血管線維腫において確認される融合遺伝子であり、同腫瘍は粘液性間質を種々の程度に有することが知られている。皮膚原発の軟部血管線維腫は過去に報告がなく、本研究を通して初めて、皮膚粘液腫の中に軟部血管線維腫の皮膚のカウンターパートが存在することが明らかになった。また、過去には皮膚粘液腫は表在性血管粘液腫とも呼ばれていた経緯があるが、この血管粘液腫というネーミングは軟部血管線維腫を指していた可能性がある。 本研究4年間において、孤立性線維性腫瘍については150例を対象にした融合遺伝子の検出により遺伝学的に均一な腫瘍群として解析し、脱分化の意義とメカニズムについての研究を論文化した。昨年度までに実施したPEComa、グロムス腫瘍、結節性筋膜炎の解析結果も臨床情報と併せて論文化を進めている状態である。
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