2018 Fiscal Year Research-status Report
腫瘍細胞は間質浸潤する際に機械的ストレスを受けlamin scar を生じる
Project/Area Number |
17K15651
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
割栢 健史 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (30647425)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 尿路上皮癌 / 微小管 / 細胞骨格 / 間質浸潤 / MAP7 / 細胞異型 |
Outline of Annual Research Achievements |
癌組織は正常組織とは異なった細胞形態(細胞異型)を示し、病理診断の重要な基準となっている。我々は、クロマチンの高次構造や染色体不安定性の観点から 癌細胞の細胞異型の発生機序を解析してきた。細胞異型に大きく関与する核膜蛋白の一つであるLaminについて、Lamin Scarという新たな現象が示された。本研究では癌細胞が間質浸潤する際に形成されるLamin scarと癌細胞の細胞異型形成の関係を明らかにし、病理診断へ応用することを目的とする。平成29年度はまず膀胱尿路上皮癌の手術症例に対して 免疫染色により浸潤病変における Lamin の発現についてパイロットスタディを試みた。浸潤病変における Lamin の発現に多少の細胞膜内偏在の傾向がうかがえるものの明瞭な有意とするだけの所見は得られなかった。そこで細胞異型の発生機序に関わる他の蛋白の候補を検索したところ、細胞形態 (細胞異型)に大きく関与するアクチンフィラメントと微小管の両者に相互作用する microtubule associated protein (以下MAP)という蛋白を見つけた。過去の尿路上皮癌の遺伝子データ (Gene expression omnibus) にてMAPを検討したところ尿路上皮癌の浸潤深達度とMAPの発現に相関があるかもしれないとの仮説が示唆された。この仮説をもとに我々は上皮細胞に発現するMAP7にて尿路上皮癌の切除症例に対して免疫染色でパイロットスタディを行ない、非浸潤性尿路上皮癌と浸潤性尿路上皮癌とに発現の差があるかもしれないとの結果を得た。 今後は尿路上皮癌における間質浸潤とMAP7の相関をさらに検討し、浸潤病変の診断補助及び膀胱尿路上皮癌治療の治療選択決定の予測因子としての可能性を検索していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
膀胱癌症例に対しMAP7の免疫染色を施行し、現在評価中である。おおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
膀胱癌症例に対しMAP7の免疫染色を施行した。免疫染色の発現の強度とその面積をスコア化し、各種パラメータとの相関について統計学的検討を行う。これにより得られた情報をもとに論文作成する予定である。
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