2018 Fiscal Year Research-status Report
Investigation of novel ANO1 inhibitor and its analgesic effects
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17K15793
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Research Institution | Center for Novel Science Initatives, National Institutes of Natural Sciences |
Principal Investigator |
高山 靖規 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(新分野創成センター、アストロバイオロジーセンター、生命創成探究, 生命創成探究センター, 特任助教 (60711033)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 炎症性疼痛 / イオンチャネル相互作用 / TRPV1 / アノクタミン1 |
Outline of Annual Research Achievements |
一次感覚神経に共発現するTRPV1(カプサイシン受容体)とアノクタミン1(カルシウム活性化クロライドチャネル)が相互作用することにより急性疼痛を増悪させる機構を形成している。そこで本研究では炎症時における相互作用の役割を明らかにすることを目的としている。TRPV1はプロテインキナーゼC活性によりリン酸化を受けると、その活性化閾値が低下する。そのため、通常では痛みを感じない程度の侵害性刺激に対してもより強い反応を示すようになる。そこでプロテインキナーゼC刺激剤であるPMAを用いて実験を行なった。ヒト腎臓由来の培養細胞であるHEK293T細胞にTRPV1とアノクタミン1を強制発現させ、PMAでTRPV1をリン酸化させた後に低濃度のカプサイシン投与によってもたらされる電流をホールセルパッチクランプ法により解析した。その結果、強い相互作用を示唆する電流が観察された。この際、相互作用による電流はTRPV1単独の電流よりも5倍程度大きかった。これは、TRPV1の活性化が僅かであってもアノクタミン1の活性は極大近くに上昇することを示している。このことから、TRPV1とアノクタミン1の相互作用における関係性はそれぞれの活性化レベルが正比例するシンメトリーなものではなく、TRPV1の活性化強度に関わらずアノクタミン1はほぼ一定の強い活性化をするという非対称性の働きをすることが判明した。論理的推察として、TRPV1とアノクタミン1の活性化が対称性を持つ(TRPV1活性が50%なのときアノクタミン1活性も50%)とするなら、今回の事象は生理学における対称性の破れを論ずるものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで炎症時に起こる痛覚過敏を引き起こす主要分子としてTRPV1だけが信じられ、クローニングより20年近く研究対象になってきた。しかしながら、本研究より炎症性疼痛においてもTRPV1とアノクタミン1の相互作用は深く関わっており、特にその関係は非対称的であることが初めて明らかとなった。これは生体内で起こり得る微弱な刺激によってなぜ生理的に意義を持つ強度の反応を示せるのかという疑問にも答えを導く一助となる発見であり、当初の計画とは多少変更を必要とするものの推測の域を超えた進歩と期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
TRPV1の活性化を引き起こすリガンドはカプサイシンのような化学的だけではない。今度は物理的刺激である熱を用いてTRPV1とアノクタミン1の相互作用がどのように変化するのか確かめる。現在、メカニズムは不明であるがアノクタミン1自体も42度を超える侵害性熱刺激で活性化することが判明している。しかしながら、その活性は侵害熱範囲で急速に低下し、失活する。リン酸化TRPV1は温度活性化閾値が深部体温程度まで下がることはすでに報告されているため、炎症時を想定すれば、熱刺激自体ではほとんど活性化しないが、TRPV1を介して流入するカルシウムにより強力に”活性化し続ける”ことが考えられる。これが証明されれば、炎症性疼痛におけるアロディニアを明確に説明することが可能となる。
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Causes of Carryover |
初年度の未使用分が2018年度に追加されていた。また、消耗品などを節約した結果、予測よりも低額となったため次年度使用額が生じた。本研究過程において期待を上回る発見ができているので、その証明に適した新たな実験機器・消耗品の購入およびその成果発表などに2019年度分と共に充てる。
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[Journal Article] The ATP Transporter VNUT Mediates Induction of Dectin-1-Triggered Candida Nociception2018
Author(s)
Maruyama K, Takayama Y, Sugisawa E, Yamanoi Y, Yokawa T, Kondo T, Ishibashi KI, Sahoo BR, Takemura N, Mori Y, Kanemaru H, Kumagai Y, Martino MM, Yoshioka Y, Nishijo H, Tanaka H, Sasaki A, Ohno N, Iwakura Y, Moriyama Y, Nomura M, Akira S, Tominaga M
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Journal Title
iScience
Volume: 6
Pages: 306-318
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Physiological responses of ionotropic histamine receptors, PxHCLA and PxHCLB, to neurotransmitter candidates in a butterfly, Papilio xuthus2018
Author(s)
Akashi HD, Chen PJ, Akiyama T, Terai Y, Wakakuwa M, Takayama Y, Tominaga M, Arikawa K
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Journal Title
J Exp Biol
Volume: 221
Pages: Pt21
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Cell surface flip-flop of phosphatidylserine is critical for PIEZO1-mediated myotube formation2018
Author(s)
Tsuchiya M, Hara Y, Okuda M, Itoh K, Nishioka R, Shiomi A, Nagao K, Mori M, Mori Y, Ikenouchi J, Suzuki R, Tanaka M, Ohwada T, Aoki J, Kanagawa M, Toda T, Nagata Y, Matsuda R, Takayama Y, Tominaga M, Umeda M
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Journal Title
Nat Commun
Volume: 9
Pages: 2049
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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