2017 Fiscal Year Research-status Report
悪性中皮腫におけるオートファジー活性化機序の解明と新規診断法、治療法への応用
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17K16065
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
篠原 義康 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (60723509)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 悪性中皮腫 / オートファジー / 細胞増殖 / 抗がん剤抵抗性 |
Outline of Annual Research Achievements |
悪性中皮腫細胞株において、恒常的にオートファジーが活性化し、そのことが、細胞の増殖、生存に関与していることを見出している。本年度は、悪性中皮腫において、オートファジーにおける遺伝子Aがコードする蛋白質Aの役割を検討した。悪性中皮腫細胞株において、蛋白質AをsiRNAにより、発現を抑制すると、細胞内のLC3-II蛋白質発現量は、減少した。同時に、細胞内のGFP-LC3を観察すると、GFPのドット(オートファゴソーム)が減少した。このことから、蛋白質Aは、オートファジーを調節することが分かった。この時、細胞増殖は減少したが、シスプラチン感受性には変化はなかった。一方、オートファジーが活性化すると、オートファジーの基質の一つであるp62蛋白質は、細胞内で分解されて減少することが知られている。しかし、悪性中皮腫細胞株において、無血清培地でオートファジーを誘導するとp62蛋白質は増加した。一部の細胞では、オートファジーが活性化していてもp62蛋白質が細胞内で増加することやp62蛋白質の増加が細胞の増殖、抗がん剤抵抗性に関与することが報告されていることから、悪性中皮腫細胞株のp62蛋白質の発現をsiRNAで抑制すると、細胞増殖が抑制され、シスプラチン感受性が増加した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
悪性中皮腫細胞株において、蛋白質Aがオートファジーを調節することが分かった。また、p62蛋白質が悪性中皮腫細胞株の細胞増殖やシスプラチン感受性に関与することが示唆される知見を得ている。
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Strategy for Future Research Activity |
1.悪性中皮腫細胞株で蛋白質Aのオートファジー調節機構や細胞増殖調節機構について、種々の阻害剤処理やsiRNAを導入して、LC3-II蛋白質発現量やGFP-LC3を観察することで検討する。 2.悪性中皮腫細部株でp62蛋白質が関与する細胞増殖機構やシスプラチン感受性について、種々の阻害剤処理やsiRNAを導入することにより、その影響を検討する。 以上より、悪性中皮腫のオートファジーと関わる細胞増殖や薬剤感受性などの機序を解明し、悪性中皮腫におけるオートファジーを標的とした治療法の開発を試みる。
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Causes of Carryover |
前年度の補助金については、主に物品(消耗品)の購入に使用したが、使用計画していた物品を変更したこと、効率的に研究を行うことができたことなどにより、次年度使用額が生じた。次年度使用額は、次年度の研究を円滑に進めるための物品購入等に使用する予定である。
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