2018 Fiscal Year Research-status Report
Na電流阻害薬を用いた運動神経興奮性制御による筋萎縮性側索硬化症の新規治療開発
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17K16110
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
澁谷 和幹 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (90507360)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 筋萎縮性側索硬化症 / 神経興奮性 / Naチャネル阻害薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
運動神経の過剰興奮性は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)運動神経細胞死の原因の一つと考えられている。これまで我々は、ALS運動神経では持続的Na電流の増加とK電流減少という2つの機構を介して興奮性が増大していること、更に皮質運動野でも興奮性が増大し、運動神経細胞死の一因となっている可能性を指摘してきた。特に、ALS運動神経のNa電流の増大が、運動神経細胞死と密接に関係している可能性を明らかにしてきた。本研究の目的は、将来の治験に向けてイオンチャネル修飾薬の中から中枢及び末梢運動神経興奮性を適切に調節できる薬剤を選定することである。次に、神経興奮性制御がALS患者における症状進行抑制につながるかを検討する。本研究は、神経興奮性制御という新たな視点からALS新規治療の開発を目指している。 本研究は、ALS患者を対象とした臨床試験、およびALSモデル動物を対象とした動物実験よりなっている。それらの結果を元に、ALS患者を対象とした治験を実施することが最終的な目標である。研究計画1として、ALS患者を対象とした臨床試験を実施している。Naチャネル阻害薬内服前後で神経興奮性検査、運動皮質興奮性検査を行い、神経興奮性に与える影響を明らかとする。研究計画2としては、ALSモデルマウスにイオンチャネル修飾薬を内服させ、神経興奮性検査の変化および症状・生存期間について非内服マウスと比較検討する。研究計画3として、上記の研究で効果を認めた薬剤を用いて、ALS患者を対象に多施設共同臨床試験を実施する。 これらの研究結果を通して、ALSに対してイオンチャネル修飾薬が効果をもたらすかを検証し、新たな治療薬開発を行う。 現在研究計画1および研究計画2が遂行されており、データの蓄積がなされている。今後これらのデータ蓄積を続け、今年度中に計画1および2を完遂する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では、研究計画1:ALS患者を対象としたNaチャネル阻害薬を用いた臨床試験、研究計画2:ALSモデルマウスにイオンチャネル修飾薬を内服させる実験、研究計画3:上記の研究で効果を認めた薬剤を用いてALS患者を対象とした多施設共同臨床試験 のうち、研究計画1および2について終了することを予定していた。 研究計画1として予定していた、ALS患者を対象とした臨床試験は、既に試験を開始している。しかし、臨床研究法の施行により、研究の中断と臨床研究審査委員会への再申請と承認作業を要した。これらの手続きに数か月を要し、臨床研究への患者組み入れに遅れが生じた。しかし、遅延はしているものの研究は進行しつつある。既に7名の患者が臨床試験に参加しており、試験データが蓄積されつつある。 研究計画2として予定していたALSモデルマウスにイオンチャネル修飾薬を内服させる実験は、ALSモデルマウスの購入及び海外からの輸入の手続きに手間取り、同様に研究に遅延が生じている。 今年度中には、研究計画1および2を完遂することを目標としている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画では、研究計画1:ALS患者を対象としたNaチャネル阻害薬を用いた臨床試験、研究計画2:ALSモデルマウスにイオンチャネル修飾薬を内服させる実験、研究計画3:上記の研究で効果を認めた薬剤を用いてALS患者を対象とした多施設共同臨床試験 のうち、研究計画1および2について終了することを目標としていた。 既に研究計画1および2について、研究計画が実施されいるため、今後も計画を実行していく予定である。どちらの研究計画も、計画の実施が遅延気味であるため、これらを加速させて行っていく。 研究計画1の臨床試験に関しては、千葉大学神経内科関連病院へALS患者紹介をお願いし、臨床試験参加者を募りやすい体制を構築していく。また研究計画2については、学内研究協力者に呼びかけ、研究の遂行をより加速させていく予定である。 これらの計画を実行に移し、今年度中に研究計画1および2を終了させたいと考えている。
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Causes of Carryover |
”現在までの進捗状況”に記載したように、当初の予定よりも研究計画1および2の進捗が遅延している。今後は”今後の研究の推進方策”に記載した対策を行い、研究の実施を加速させていく予定である。 具体的には、研究計画1については臨床試験参加予定者を30名に設定している。現在まで7名の患者に参加いただいており、更に組み入れ患者を増やしていくことを目標としている。臨床試験を実施していくに当たり、薬剤費や各種備品・消耗品の購入が必要であり、助成金をこれらに充てていく予定である。研究計画2についても薬剤費や各種備品・消耗品の購入が必要となってくるため、助成金をこれらに充てていく予定である。 今年度遅延した研究計画を次年度に実施する予定であるため、今年度未使用額を繰り越すこととなった。
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Research Products
(10 results)