2017 Fiscal Year Research-status Report
孤発性ALSにおける高次機能障害に影響する遺伝要因の同定
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17K16116
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中村 亮一 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (80723030)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 筋萎縮性側策硬化症 / 高次脳機能障害 / 前頭側頭葉変性症 / 次世代シークエンサー / 網羅的解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
筋萎縮性側索硬化症(ALS)は代表的な神経難病である。近年、ALSの患者は約半数に高次脳機能障害を合併し、前頭側頭葉変性症(FTLD)とは共通の病理基盤を持ち、連続した疾患スペクトラムと考えられている。 本研究の目的は、これまでに名古屋大学神経内科で収集した多数のALS患者の高次脳機能検査、画像データ、縦断的臨床像とDNA検体を用いて、ALSおよびFTLD疾患関連遺伝子、認知症関連遺伝子の網羅的シーケンスを行い、わが国のALS患者における既知のALSおよびFTLD関連遺伝子変異、認知症関連遺伝子変異の頻度を明らかにする、(2)孤発性ALSの高次脳機能障害に影響を与えている遺伝子変異の探索、同定を行い、孤発性ALSの病態関連遺伝子を明らかにすることである。 平成29年度は孤発性筋萎縮性側索硬化症 (ALS) 713例に対して次世代シークエンサーを用いて網羅的に遺伝子解析を施行し、近年、ALS及び前頭側頭葉変性症(FTLD)の原因遺伝子のひとつとして判明したTANK-binding kinase 1 (TBK1) 遺伝子変異を1.26%にあたる9例に認めた。9例に判明した9種類の変異のうち、4つは既報告のない新規ミスセンス変異であり、3つはナンセンス変異やフレームシフト変異などの機能喪失変異であった。1例に認めたp.Val23Ile変異を持つ症例に関しては、56歳時に右上肢の筋力低下で発症し、経過中に脱抑制的な行動異常や無関心、病識欠如が目立ち、頭部MRIで両側前頭葉、側頭葉の萎縮、脳血流シンチで両側側頭葉の血流低下を認め、ALS-FTDと診断されており、高次機能障害を伴うALSの遺伝的背景としてTBK1遺伝子変異の重要性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
既に当初の想定数以上の孤発性ALS患者に対して網羅的な遺伝子解析を施行した。 抽出されたvariantを今日までにALSやFTLD、認知症の発症の原因として同定されているもの、ALSやFTLDの発症には無関係であると同定されているもの、またそのどちらでもないものに分類し、それぞれサンガー法で変異の有無を確認している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度も引き続き、遺伝子解析未施行の残りの孤発性ALS検体に対して網羅的なシーケンスを行った上で抽出されたvariantについて解析を施行する。さらに平成29年度に施行した症例も含め孤発性ALS患者遺伝子解析データとMMSE,ACE-R,MoCA-J,RCPM,FAB,Stroop test,数唱,語想起,ADAS-J.cogなどの高次脳機能検査データ、頭部MRI拡散テンソル画像や脳血流シンチなどの画像データ、前向き臨床データを比較検討する事によって、ALSの高次脳機能に影響する遺伝子多型、遺伝子変異を検索する。高次脳機能障害を持つALS患者群と持たない患者群でのvariantの頻度をLogistic regressionまたはCochran-Armitage testを用いて比較する。
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Causes of Carryover |
(理由) 購入予定していた遺伝子解析のための遺伝子解析用試薬とソフトウェアを研究協力者より譲られ節約することが出来たため。 (使用計画) 研究の進捗を早めるために研究補助者を雇用する予定である。
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Research Products
(6 results)
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[Presentation] Clinical characteristics of familial and sporadic amyotrophic lateral sclerosis patients with G93S mutation in the SOD1 gene.2017
Author(s)
Ryoichi Nakamura, Naoki Atsuta, Genki Tohnai, Daichi Yokoi, Hazuki Watanabe, Naoki Hayashi, Jun Sone, Mizuki Ito, Hirohisa Watanabe, Masahisa Katsuno, Yuishin Izumi, Rina Hashimoto, Ikuko Aiba, Kouichi Mizoguchi, Ryuji Kaji, & Gen Sobue, JaCALS.
Organizer
World Congress of Neurology
Int'l Joint Research