2017 Fiscal Year Research-status Report
白血球のDRD2メチル化率を用いたバイオマーカーの探索
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17K16381
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
吉野 祐太 愛媛大学, 医学部附属病院, 助教 (10646243)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | DNAメチル化 / DRD2遺伝子 / 統合失調症 / うつ病 / パーキンソン病 / レヴィー小体型認知症 |
Outline of Annual Research Achievements |
私は統合失調症服薬群、未服薬群共に、性年齢を一致させた健常対照者に比較して、有意にDNAメチル化率が低下していることを確認した。そして、解析したメチル化率を用いた判別分析では、服薬群では感度:80%・特異度:72%、未服薬群では感度:89%・特異度:72%であることから、服薬の有無にかかわらず、末梢血白血球DRD2遺伝子DNAメチル化率変化が統合失調症のバイオマーカーとして期待できると報告した(Yoshino et al., 2016)。 精神神経疾患では、分子生物学的な変化は疾患をまたいで認められることがあることを踏まえ、当科で所有しているサンプルに加え新たにサンプルを集め、他の精神神経疾患の同部位に関してDNAメチル化率を測定した。その結果、大うつ病性障害、レヴィー小体型認知症ではメチル化率は変化しておらず、パーキンソン病においてメチル化率が低下している結果が得られた。これまでの結果を踏まえて、よりドパミン系の影響が大きい精神神経疾患においてDRD2遺伝子DNAメチル化率が変化していると考え、これらの疾患の診断バイオマーカーになりうると考えている。 今後、自閉症スペクトラム障害といった他の精神神経疾患を対象にDNAメチル化率を測定すること、また統合失調症患者の新たなサンプルを用いて再現実験をすることより、末梢血におけるDRD2遺伝子上流のDNAメチル化率がバイオマーカーになりうるかを検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
我々がこれまでにDNAメチル化率を測定していたDRD2遺伝子上流の7 CpG部位に関しては、これまで同様に測定することができている。しかし、他のCpGターゲットに関してはGCリッチであることなどより、信頼度の高いデータを得られるプロトコールを作成することが困難であると判断した。他の精神神経疾患のサンプル収集、末梢血におけるDRD2遺伝子上流のDNAメチル化率測定に関しては予定通り研究は進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、自閉症スペクトラム障害といった他の精神神経疾患で末梢血におけるDRD2遺伝子上流のDNAメチル化率を測定すること、また詳細な精神症状評価を行っている統合失調症サンプルで再現実験を行い、同じような結果が得られるか、またその場合どのような精神症状がメチル化率に影響を与えているかを検討する予定である。
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