2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K16397
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
有銘 預世布 獨協医科大学, 医学部, 講師 (80609404)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 統合失調症 / 動物モデル / 前辺縁皮質 / ワーキングメモリー / in vivo カルシウムイメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はフェンサイクリジン(PCP)を慢性投与したマウス(PCP慢性投与マウス)を用いて、ワーキングメモリー障害に関わる脳領域を細胞レベルでマッピングして明らかにし、課題中の特定の神経細胞、神経回路においてカルシウムイメージングを行うファイバーフォトメトリーシステムの立ち上げを開始した。 具体的には、ワーキングメモリー課題として遅延非場所合わせ試験を用い、課題を学習させたC57BL/6JマウスにPCPあるいは生理食塩水を慢性投与し休薬期間をおいた後、遅延非場所合わせ試験を試行した直後あるいは90分後にサンプリングした。神経活動に応答して誘導されるc-Fosタンパク質を指標に課題試行時の神経活動マッピングを広範な脳領域(前辺縁皮質、下辺縁皮質、前部帯状回、背内側線条体、背外側線条体、視床室傍核、視床背内側核、視床結合核、海馬歯状回・CA1領域・CA3領域・腹側subiculum、黒質背側部・内側部、腹側被蓋野内側部・外側部・interfascicular nucleus)で実施した。結果、PCP慢性投与マウスはワーキングメモリーの低下を示し、課題を試行したPCP慢性投与マウス群特異的に認められたのは、前頭前野皮質の一領域である前辺縁皮質の2-3層、背内側線条体の後部で顕著な活動亢進と腹側subiculumにおける有意な活動低下であった。 また、in vivoカルシウムイメージング法の立ち上げとして、ファイバーフォトメトリー装置の導入とセットアップ、蛍光カルシウムセンサータンパク質GCaMP6fをグルタミン酸作動性神経で発現するアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターの準備、ドーパミン神経特異的にCreリコンビナーゼを発現するマウスの導入を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度は、本研究の端緒となるPCP慢性投与マウスのワーキングメモリー障害とその障害と関連する脳領域を明らかにした論文を筆頭著者及びコレスポンディングオーサーとして掲載することができた。また、本研究の核となるファイバーフォトメトリーシステムの立ち上げと蛍光カルシウムセンサータンパク質を発現するウイルスベクターを外部研究機関から入手する共同研究を開始した。また、カルシウムイメージングにおいてウイルスベクター単体で実験するものに加えて、ウイルスベクターと組み合わせて使用するマウス系統も導入することができた。これらは今後の研究を進捗する上で重要な前進である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、これらシステムを用い、PCP慢性投与マウスのワーキングメモリー障害に関わる神経回路を明らかにしていく予定である。
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Causes of Carryover |
金額として大きな割合を占めるものとして、ウイルスベクターの作成とドーパミン神経特異的にCreリコンビナーゼを発現するマウスの導入があった。ウイルスベクターの作成は国内共同研究先に作成してもらうことにより海外ベクターコアから直接ウイルスベクターを購入する必要がなくなり、かつ上記マウス系統が年度末に納品されたため予算の支出は次年度になった分、平成29年度の予算としては余裕が生じた。
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Research Products
(1 results)