2018 Fiscal Year Research-status Report
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17K16431
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
川嶋 広貴 金沢大学, 保健学系, 助教 (70775577)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | コンピュータ断層撮影 / 解像度 / 四肢 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,コンピュータ断層撮影(computed tomography: CT)装置の解像度を飛躍的に改善するため,近接ジオメトリと高精細検出器を既存のCT装置に搭載した新たなコンセプトの超高解像度CTシステムの基礎的技術を開発することである. 昨年度は,従来のCT装置に取り付けられている検出器の上に,開発した高精細COMS型検出器(0.1 mmピッチ,1536チャンネル,68列)を含むシステムを取り付け,無線ネットワーク経由で遠隔操作しこのシステムを起動する設備を整えた.これにより,検出器に入ってきたX線のデータを投影データとして取り出すことに成功し,高解像度CT画像の再構成が可能となった. このCT画像の空間分解能やノイズ特性などの物理的画質特性をファントムを使って測定した.また同様の条件下において,臨床で使用されている従来型のCTの評価も行い,比較した.その結果,空間分解能の指標であるMTFは3倍程度に増加し,解像度は0.164mmであったことから0.2 mm程度の大きさである骨梁構造を十分に描出できる可能性が示された.また人体の微細な構造を表現するために必要なシステムの感度も十分に高いことが確認された. 人体を模擬した足や頭部のファントムでも撮像を行い,視覚的に評価を行ったところ,これまで描出できなかった骨梁や内耳の構造が明瞭に描出されていた. 近年CT装置メーカーから販売されている高解像度CTの画質特性についても,同じように評価を行った.最新の高解像度CT装置は非常に優れた画質特性を示していたが,検出器と被写体が離れている拡大ジオメトリであるために,使用できる焦点サイズが限られることや高解像度化に伴う検出感度の劣化が認められた.これより開発中の高解像度CT装置の有用性は高いと考えられた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
従来のCT装置に取り付けられている検出器の上に,開発した高精細検出器を含むシステムを取り付け,超高解像度CTの取得に成功した.取得された高解像度CT画像の評価を物理的な画質評価実験およびファントム撮像により評価した.その結果,これまでのCT画像に比べ明らかに微細な構造の描出に優れていることが確認できた. またCT装置メーカーが販売している高解像度CT装置についても評価を行い,我々の開発しているシステムの優位性を確認できた.
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Strategy for Future Research Activity |
臨床で使用されているCT装置は,X線の散乱による画質劣化の影響が限りなく小さくなるように設計されている.散乱線を多く含むCT画像は,CT値差の少ない軟部組織等の描出が悪くなることや正確なCT値が得られないことが考えられる.現状の開発した高解像度CTには,それらを防ぐデバイス等が無く,十分な対処がなされていない.そこで,この問題を解決すべく,専用の散乱線除去システムを開発し,さらなる画質向上を試みる. 現在の高解像度システムはファントムのみを撮像するため,新しく取り付けた検出器等のシステムはカバーなど無く,そのままの状態で遠心運動を行っている.そこで,将来的に臨床評価を行うことも考慮し,システムの安全性を担保できるように専用のガントリ(装置のカバー)を作成する. ここまでの研究成果を国内および国際学会で発表し,研究に対する評価やニーズに関する意見を得る.
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Causes of Carryover |
専用実験機材の製作や再構成ソフトウェアの開発および論文投稿の準備が遅れており,次年度使用額が生じた.また次年度はここまでの研究成果を国内および国際学会で発表する渡航費等に使用する予定である.
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Research Products
(2 results)