2017 Fiscal Year Research-status Report
生体内外のMRI画像検討による仮想生体病理作成の検討
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17K16446
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
中村 優子 広島大学, 医歯薬保健学研究科(医), 特任講師 (40598984)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 仮想生体病理 |
Outline of Annual Research Achievements |
画像診断の究極的な目標は患者の体内を非侵襲的に正確に把握し、患者それぞれに最適な医療を提供することである。画像診断は病理所見をgold standardとして対比することで発展してきたが、画像と病理所見との乖離にしばしば遭遇する。その主たる原因は病理検索は生体内で行えず、生体外で変性を伴うホルマリン固定が必要となるためである。よって、摘出やホルマリン固定による変性が生体内の正常・異常の両者にもたらす影響を動物実験・臨床研究から明らかにし、これらの変化を従来の病理所見に加味することで「仮想生体病理」を作成、得られた「仮想生体病理」と実際の患者の画像を比較することで、より正確かつ詳細な患者体内の類推可能な画像診断を目的とし、本研究を開始した。 画像のモダリティとしては、コントラストがもっともよいと思われるMRIで検討を行うことにした。本年度はまずホルマリン固定によってMRIの信号に変化が起こるかを検討した。具体的には食用肉に対し、ホルマリン固定直後から24時間後まで経時的にMRI撮影を繰り返し、その信号変化を検討した。撮像シークエンスはもっとも基本的なT1WI、T2WIを用いた。定性的評価に加え、レファレンスファントムとの信号比(相対的信号)を算出することで定量的評価を行った。結果として、特にT1WIでホルマリン固定が進行するにつれて信号が上昇し、T2WIでもわずかながら信号が変化することが確認された。動物実験は当施設の動物実験舎の問題もあり(ケージがいっぱいであり、実験用のマウスを導入することが難しい)、現時点では開始できていない。よって仮想生体病理画像を作成するためには機械学習が必須であるため、広島大学放射線診断科 檜垣徹氏、粟井和夫教授の指導のもと、この情報の収集を継続している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
食用肉にてホルマリンによる信号変化の検討を行い、ホルマリンによって食用肉の信号が変化することを定性的、定量的に確認できた。次に行うべきは動物実験であるが、いまだ開始できていない。動物舎の状況を確認しながら、できるだけ早急に開始する予定である。 仮想生体病理画像を作成するために必要な機械学習については、引き続き情報収集を継続する。
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Strategy for Future Research Activity |
食用肉を使用したホルマリンによるMRI信号変化のデータは得られたため、情報収集を開始している機械学習を用い、ホルマリン固定による変化を機械学習で修復することができるか検討する。 動物実験に関しては、いまだ開始ができていない。動物舎のケージ数の問題であるため、状況を確認しながら、できるだけ早急な開始をめざす。
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Causes of Carryover |
当施設の動物舎のケージ数の問題により、予定していた動物実験が開始できなかったため。ケージが確保でき次第、動物実験を早急に開始する。
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