2017 Fiscal Year Research-status Report
がんと間質に特化した大腸がんマイクロRNAの解析に基づく免疫療法の効果予測
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17K16558
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
竹之内 寛子 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 学術研究員 (20749808)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | マイクロRNA / 癌微小環境 / がん免疫療法 / バイオマーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、マイクロRNAの発現量とがん患者に対する免疫療法の効果との関係を探索するため、がん局所微小環境に着目し、がん細胞並びに間質におけるマイクロRNAの発現を詳細に解析し、より正確にがんペプチド療法の有効症例を予測するバイオマーカーを同定するとともに、マイクロRNAが、がん治療の新規標的となる可能性を検討することを目的としている。 本研究の予備実験として、進行・再発性大腸がんに対して化学療法とHLA拘束性ペプチドワクチン療法の併用療法を施行した症例の治療前凍結癌組織中のマイクロRNAの発現量をマイクロアレイ解析により測定したところ、本療法の効果とマイクロRNAの発現量に関連が見られたものがいくつか選定された。 本研究では、治療前の標本を入手できた68例に症例数を増やし、ホルマリン固定パラフィン包埋組織からLaser capture microdissection(LCM)法を用いて、がん細胞とがん間質部を別々に採取し、それぞれから抽出したtotal RNAからcDNAを合成し、マイクロアレイ解析により候補に挙がったマイクロRNAについて、定量的PCR法によりマイクロRNAの増幅・検出を行った。 その結果、がん細胞中および間質部のmiR-125b-1が低値の症例、ならびにmiR-378a低値の症例は、HLA matched症例において、本療法後の予後が良好で有り、HLA unmatched症例では差が見られなかった。このことより、これらのマイクロRNAは免疫療法の効果と関連する有用なバイオマーカーとなり得る可能性がある。さらに、in situ hibridisation(ISH)により、組織切片中の局在について解析したところ、miR-125b-1は間質の線維芽細胞と単核細胞で強い発現を示しており、視覚的な確認も行うことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成30年度の課題としていたin situ hibridisation(ISH)まで進めることができ、実験は非常に順調に進んでいる。また、本研究に関しての論文を研究協力者の田中宏典が執筆し、研究代表者も共著者として論文作成に取り組んだ。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究で候補となったマイクロRNAのターゲットとなるタンパクを探索するため、がん組織の免疫組織化学染色を行う。ISHおよび免疫組織化学染色で得た結果から、マイクロRNA発現とタンパク発現の関連性についても検討する。本解析により免疫療法の効果を予測するバイオマーカーとなるマイクロRNAを同定するとともに、がん部とがん間質部のマイクロRNAの発現を比較して、免疫療法の効果との関連を検討することで、がんによる免疫抑制機構の解明にもつながると考えられる。
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Causes of Carryover |
当初購入を予定していたRT-PCRに必要な試薬類の購入費が少なく済んだため。 今後は、免疫組織化学染色に必要な抗体類の購入費として使用する予定である。
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Research Products
(2 results)