2018 Fiscal Year Research-status Report
生殖細胞成熟過程における癌/精巣抗原の発現を指標とした新たな癌ステージングの証明
Project/Area Number |
17K16578
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
福山 隆 北里大学, 北里大学メディカルセンター, 上級研究員 (10462251)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 癌/精巣抗原 / 始原生殖細胞 / 胃癌 / Helicobacter pylori |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、癌/精巣抗原(cancer/testis antigen, CTA)が発現する時期および発現機序を明らかにすることを目的としている。 2017年度は癌におけるCTAsの発現時期と生殖系細胞(premordial germ cell, PGC)におけるCTAsの発現時期について検討し、その結果から、PGCの分化増殖過程でCTAはMage-B4、Mage-A3、Ssxb1の順で発現しはじめ、発現し続けることを明らかにした。また、癌の悪性形質獲得過程でのCTAsはSsxb1、Mage-A3、Mage-B4の順で発現し始め、発現し続けることを明らかにした。以上のことから、CTAsの発現の順序はPGCの分化と細胞の悪性化では逆である可能性を示唆した。 それを踏まえて、当該年度は、臨床胃がん癌検体における各 癌/精巣抗原の遺伝子発現について検討した。胃がん検体(n=82)における各CTAの発現率は、Kitakyushu lung cancer antigen-1 (KK-LC-1): 80.5%、Melanoma antigen (MAGE)-A1: 26.8%、MAGE-A3: 41.5%、MAGE-A4: 20.7%、Synovial sarcoma, X breakpoint 4: 22.0%、New York esophageal squamous cell carcinoma-1 (NY-ESO-1): 17.1%であった。NY-ESO-1陽性の14症例全てで、MAGE-A3が発現していた。MAGE-A3陽性症例におけるNY-ESO-1陽性率は、41.2%であった。 以上のことから、KK-LC-1が胃がんの初期から発現し、進行してもその発現は維持し続けることが明らかになった。MAGE-A3の発現を基として、NY-ESO-1の発現が誘導されることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該年度の目標は胃がん臨床検体を用いて各CTAの発現機序を解明することであった。 胃がんにおいて、KK-LC-1は高頻度発現しており、早期がん、進行がん共に高頻度に発現していることを明らかにできた。NY-ESO-1はMAGE-A3陽性の検体のみで発現することがあるということを明らかにもできた。この事象は、胃がんにおけるCTAの発現順序を決定する根拠となりうる。 現在、82症例の胃がん患者について、腫瘍組織のCTAの発現を解析した。当初は100症例を目標としていたが、当院で対象となる胃がん患者が当初の予定よりも若干下回ったこと、および、研究対象から除外せざるを得ない症例が予定より多く見受けられたことがあり、目標症例に達しなかった。この点については、2019年度まで研究の延長を行うことで、解決できる。 以上を勘案して、研究成果としては十分であるが、当初の目標症例数に達しなかったため、進捗状況としてはやや遅れていると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度のうちに、残りの18症例の胃がん患者の解析を行う。
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Causes of Carryover |
当初の目標回収検体数を下回ったため最終的な結論を出すことができなかった。 最終的な結果を出すための試薬代、最終結果を踏まえた上での研究成果報告にかかる費用、研究打ち合わせにかかる費用ならびに専門知識等の提供にかかる謝金に供する予定である。
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Research Products
(3 results)