2017 Fiscal Year Research-status Report
Evaluation of severity and reversibility of chronic right heart failure by epigenetic gene regulation
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17K16588
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
杉本 愛 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (00723941)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 右室心筋病理組織検査 / 慢性右心不全 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、先天性心疾患の治療成績が向上し、成人期に到達する患者が増え、それに関連し、遺残病変などから慢性右心不全が顕在化し、これに対する治療介入についてなやむ症例が増えています。当研究は、この状況に対し、右室心筋の病理組織検査から、治療介入の効果や術後の心不全の可逆性などについて新たな情報を追加し、これら臨床的に非常に悩ましい患者群に対する次の治療介入のタイミングや是非を検討することを目的にしています。
研究初年度である昨年度は、まず学内の倫理委員会に研究計画書を提出し、承認を得るとことから始めました。その後、順次、先天性心疾患を有し予定手術時に右室心筋を切除する患者に対し、術前に、主に両親より研究参加への同意を得、手術時の病理組織標本の採取を行いました。 病理組織標本の採取にあたっては、免疫染色を後日行うことを考慮し、ホルマリン固定による通常の病理組織標本に加え、液体窒素を用い、手術室にて凍結保存した標本を同時に保存しました。この作業にあたり、まず、既存の外科学教室組織室スタッフや手術室スタッフの協力体制を整えました。
昨年度1年間に、研究への参加の同意を得られたのは17例で、いずれも二心室治療群でした。この中には、ファロー四徴症術後遠隔期の成人あるいは成人に近い慢性右心不全例が4例含まれ、それ以外の乳幼児、小児例が13例でした。通常の病理組織検査結果では、右室心筋の繊維化や細胞の明らかな形態異常は指摘されておらず、今後、免疫染色を行って詳細な検討が必要と考えています。免疫染色に関しては、抗体の絞り込みから判定までを、今後、院内の病理組織センターに相談しながら行っていく予定です。研究参加者に関する診療録ベースの情報は、パスワードのかかったパソコンおよびハードディスクを準備し、順次調べ、そちらに保存しました。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究参加者の数としては、1年間で17例、3年間で50例程度が見込まれます。 この内訳に、慢性右心不全症例が3割程度含まれることから、研究期間内にある程度の比較対象が得られると考えています。 これに関しては、当初の予定通りです。
実際の免疫染色、および結果の検討に関しては、今後力を入れていく必要があります。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、慢性右心不全の評価を目的に免疫染色を行い、その結果を評価することが目標です。 免疫染色に用いる抗体の選定や実際の染色、結果の判定を、当院の病理組織センターと相談しながら行っていく予定です。 心筋病理組織関連の研究会への参加も計画しています。 研究への参加者に関しては、引き続き、予定手術患者さんへ依頼し、全体の対象者数増加に努めます。
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Causes of Carryover |
今年度は、免疫染色を実際に行うまでは至らず、病理組織検査関連の支出が少なかったため、次年度使用額が生じました。 次年度は、実際の病理組織検査について計画的に進めていく予定です。 また、心筋生検関連の研究会への参加も予定しています。
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