2017 Fiscal Year Research-status Report
前立腺癌の去勢抵抗性獲得機序としてのARによるCCL2制御機構の解明
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17K16783
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
野原 隆弘 金沢大学, 附属病院, 助教 (20733372)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 前立腺癌 / micro RNA |
Outline of Annual Research Achievements |
Androgen/ARシグナルを抑制するとケモカインCCL2の分泌亢進をトリガーとして、腫瘍随伴性マクロファージが集簇するなど、免疫環境が大きく変化することが明らかとなってきた。前立腺癌は性質の異なる癌細胞の集まりであることが知られている。アンドロゲン除去療法(androgen-deprivation therapy: ADT)施行前のアンドロゲン受容体(androgen receptor: AR)の発現は細胞ごとに様々で、癌微小環境ではARの発現の程度が異なる癌細胞同士で相互作用を及ぼしている。ADTによりARシグナルが阻害されると、癌組織でケモカインCCL2の分泌が亢進し、paracrine作用によって前立腺癌細胞が活性化されるが、AR高発現細胞からAR低発現細胞へ細胞間シグナル伝達を介して、ケモカイン分泌が亢進するという可能性を考えている。本研究ではmicro RNAに注目し、ARによるCCL2制御を解明する。AR陽性のヒト前立腺癌細胞株LNCaPとC4-2BのARをノックダウンし、そのノックダウン効率をウエスタンブロットで確認、さらに、増殖能を詳細に検討し、もっともARの機能が抑制される配列のsmall interference RNAを選んだ。ARノックダウン細胞とコントロール細胞とを比較し、micro RNAの発現変化を網羅的に解析した。現在、ARのノックダウンによって抑制されるmicroRNAを約20個同定した。これらの中にはLNCaPとC4-2Bの間で変化の度合いが異なるものも含まれている。現在、これらがCCL2の発現を制御しているかどうか検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2年間の予定を100%とした場合、40%程度と考えられる。in vitroの実験の約30%が終了した段階である。今後はメカニズムを含むin vitroの実験の残りと、in vivo、ヒト組織を予定している。予定されていた実験の中では、大方の実験は順調に進んでいると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
ARのノックダウンによって抑制されるmicroRNAを約20個同定した。現在、これらがCCL2の発現を制御しているかどうかを、LNCaP、C4-2B双方で同じ結果が得られたものを優先的に、また、同時に文献的考察を行いながら可能性の高いものから一つずつ検討を行っており、真にCCL2に影響を与えるものを探索している。
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Causes of Carryover |
複数の細胞株での実験と抗体を使用した実験を予定していたが、一部の細胞株ではまだ実験が行われておらず、また、予定していた抗体も購入していないため残額が生じている。これらをより深いメカニズムの探索のため、サイトカインアレイやELISAを追加して行う費用に充てる予定である。
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