2017 Fiscal Year Research-status Report
前立腺肥大症における自己抗原認識による補体活性化機構の解明
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17K16802
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
秦 淳也 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (00769606)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 前立腺肥大症 / 補体 / 自己免疫 |
Outline of Annual Research Achievements |
前立腺の炎症が、前立腺肥大症(BPH)の発症・増殖に関与する一つの原因として最近注目されている。私達は、新規間質優位BPHモデルラットを用いた網羅的遺伝子発現解析を行ない、炎症系経路と同時に、補体古典的経路が活性化していることを新たに発見した。補体古典的経路は、自己抗原を標的とする免疫複合体により活性化される。また最近では、補体は病原体の排除に働くという本来の働きとは別に、炎症の活性化・増幅機構として、あらゆる疾患の根幹を担っていることが、明らかにされつつある。そこで今回、免疫複合体による補体の活性化が前立腺肥大症の発症・増殖に関与すると仮説を立て、BPHにおける補体分子の発現機能解析と免疫複合体の原因抗原同定を以下のごとく行った。研究1. BPHモデルラットを用いた補体分子の発現機能解析:補体分子(C1q, C3, C5b-9, B因子、MBL、MAC)の発現解析と、血清中の補体分子濃度測定及び、その経時的な変化を評価する。研究2. BPHモデルラットにおける補体活性化原因抗原の同定:免疫複合体(IgG、IgM)の発現、血清濃度を測定・評価する。また、免疫沈降、電気泳動、質量分析で原因抗原の同定を行う。研究3. ヒトBPHにおける補体分子の発現機能解析:ヒトBPH、ヒト正常前立腺組織の、補体分子発現を評価する。また、臨床的パラメータ(前立腺重量、前立腺組織の炎症スコア、排尿症状スコア等)と補体発現の関連についても合わせて比較検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度は主に、補体分子の発現機能解析を行った。その結果、前立腺肥大症の増殖過程において、補体古典的経路の活性化、また二次的に第二経路の活性化も確認された。今年度は、補体古典的経路の活性化因子として免疫複合体に着目し、その発現を解析した。それにより、前立腺肥大症の増殖過程において、免疫複合体の高発現が確認された。また、その免疫複合体の原因抗原を調べるため、免疫沈降、質量分析を行い、数個の原因分子が同定された。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、同定された抗原分子の発現機能解析を行い、前立腺肥大症のさらなる病態解明に取り組む。
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Causes of Carryover |
今後、同定された抗原分子の発現機能解析を行う上で、各種抗体、試薬の購入などが追加で必要になる。そのため、上記額を所要額として申請する。
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Research Products
(1 results)