2020 Fiscal Year Annual Research Report
The association between postpartum depression and oxidative stress during and after pregnancy
Project/Area Number |
17K16835
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
廣瀬 明日香 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 助教 (10778468)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 産後うつ / 酸化ストレス / 抗酸化力 / エジンバラ産後うつ質問票 / BAP / d-ROM / 8-OHdG |
Outline of Annual Research Achievements |
産後うつ病は罹患率が10~15%と頻度が高く、子育てや児の成長発達へ大きな影響を与えるばかりでなく自殺や児虐待の原因ともなり得る。産後うつ病の発症機構への酸化ストレスの関与に着目した研究はこれまでなかったため、今回この関連について解析を行った。 妊娠中期・後期・分娩直後・産褥1か月に血清中の酸化マーカー(dROM)と抗酸化マーカー(BAP)と尿中酸化マーカー(8-OHdG)の評価を行い、エジンバラ産後うつ質問票(EPDS)で産後うつ病を評価した。酸化ストレスと産後うつ病の関連を検討し、社会的要因や妊娠産褥経過についても調査し、産後うつ病と関連する因子を多変量解析で検討した。 リクルートした126名のうち最終的に84名のデータを解析した。多重ロジスティック回帰分析の結果、妊娠中期でのEPDSの点数と、BAPの低さが産後1か月でのEPDSの高さと関連した。産後うつ病を予測する因子として妊娠中期のうつ症状と分娩直後の抗酸化力が有用である可能性が示唆された。 さらに研究結果で、妊娠中期から分娩直後はdROMが健常者と比較し高く、産後1か月に正常域近くまで戻ることがわかった。サブ解析を行い、酸化ストレスの高さと関連する産科アウトカムについて調査した。ここで、胎児胎盤重量比(FP ratio)は児体重と胎盤重量の比率だが、異常に重い胎盤は新生児死亡や胎児機能不全との関連が示唆され近年注目されている。81名を対象に、dROM値で2群に分け単変量解析とロジスティック回帰分析を行うと、酸化ストレスが高い群ではFP ratioが低いことがわかった。胎盤形成にはらせん動脈がリモデリングされることが必要だが、これが損なわれると胎盤機能が低下し低酸素症を来たし、酸化ストレスを高めることになる。胎盤形成が不十分な場合、胎盤が代償性に大きくなりFP ratioが低くなるが、研究結果はこの病態を示したと考えた。
|