2017 Fiscal Year Research-status Report
舌下免疫療法におけるセマフォリン4Aを介した Th1/Th2制御の解明
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17K16917
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
端山 昌樹 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (70756048)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | アレルギー性鼻炎 / 舌下免疫療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
樹状細胞、T細胞などに発現するセマフォリン4A(SEMA4A)はTh1/Th2 制御においてTh1 へシフトさせる働きがある。このSEMA4Aに着目し、舌下免疫療法(SLIT)における役割について検討を行っている。マウスとヒトの両面で実験を行っている。 マウスに関してはまずはSLITモデルマウスを作成している。OVAを麻酔下に舌下投与を行い、その後にマウス口腔底組織を採取し、誘導されてくる樹状細胞を分離し、SEMA4Aの発現を確認する実験を行っている。現在のところ舌下投与の方法が安定しておらず、投与の日程やオブアルブミンなどの投与量について改善策を検討している。またマウス口腔底組織から樹状細胞を分離する方法は手技が難しいため、手技が安定するように条件検定を行っている。今後、SLITモデルマウスに対して抗原暴露実験などを行う予定である。 ヒトに関しては研究計画に沿ってスギ舌下免疫療法患者における保存血清中のセマフォリン4A、血清抗体価について測定を行っている。血清抗体価についてはIgG、IgG4 、IgEについてそれぞれ非特異的・抗原特異的なものについてそれぞれ測定している。血清SEMA4Aについてはアレルギー性鼻炎の治療前について測定した。治療前から高値の症例も存在したが、多くの症例ではコントロールと同等の程度であった。また患者症状に関して症状スコア、薬物スコア、症状薬物スコア、自覚評価などについてデータを回収し、患者背景についても調査をしている。引き続き症例数を増やし、経時的変化を確認していく必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
マウス実験に関してはSLITモデルマウスの確立、マウス口腔底組織からのTreg細胞の分離など予備実験を行い、実験系を確立させ、本実験に移行する予定であったが、実験系が安定していないため、やや遅れて進捗はしている。ヒト実験に関しても症例数が十分には集まっておらず、やや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
やや遅れているが研究遂行において問題となる予期しない事象は発生していないため、予定通り研究計画に沿って進めていく。マウスに対して舌下免疫療法を行うモデルの確立をし、マウス舌下組織から樹状細胞、Th1細胞、Treg細胞を採取し、SEMA4Aの発現についてFCMなどで検討を行っていく予定である。またSEMA4AによるSLITのアジュバント効果があるのかについてもマウス実験で検討していく。 ヒトの実験に関しては症例数を増やして、SEMA4A、血清抗体価について随時測定を行っている。またスギ花粉と抗原相同性の高いヒノキ花粉についても検討を加える予定である。患者血液からPBMCも分離し、スギ花粉抗原による刺激実験を行い、サイトカイン産生を測定することで、SLIT治療効果の判定も行い、SEMA4Aと治療効果の関連性についても検討予定である。
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Causes of Carryover |
実験用の試薬などで以前の残りなどを使用することで予定より少ない金額で進行している。また、研究の進捗がやや遅れているのも一因である。 次年度分の助成金と合わせて、舌下免疫療法モデルマウスの口腔底組織の免疫細胞の分離、FCMを用いたSEMA4Aの発現検討やSEMA4A投与による治療効果の比較試験などに使用予定である。さらにヒト実験においても引き続き、患者血清中の抗体価やSEMA4Aの測定を行う実験や患者血液から分離したPBMCを用いた刺激実験に使用予定である。
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