2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K16925
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
野田 哲平 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (20707179)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ラセン神経節 / ニューロン / 再生 / トランスクリプトーム |
Outline of Annual Research Achievements |
研究者はH29年度、トランスクリプトーム解析により、ラセン神経節ニューロンを再生させるための分子基盤の解明の第一歩となる網羅的解析を行った。ラセン神経節周囲のグリア細胞を採取し神経誘導因子であるAscl1とNeuroD1を導入することによって非神経細胞からニューロン特異的な遺伝子発現を示す細胞を得た。Notch、Wntシグナルを含む多数の遺伝子が変動しており詳細な解析は今後の課題であるが、その解析結果を論文”Direct Reprogramming of Spiral Ganglion Non-neuronal Cells into Neurons: Toward Ameliorating Sensorineural Hearing Loss by Gene Therapy.” (doi: 10.3389/fcell.2018.00016.) として出版した。このデータを基に、内耳ラセン神経節細胞特異的な遺伝子をピックアップし、免疫染色で実際のマウスにおいて同定可能かどうかを検証した。引き続き、Wntシグナルの関与についても検証を行いたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた実験に必要な数のR26-WntVisマウスが用意できなかったため (研究者の所属する大学の他部門で繋養中)、in vivoでは市販の野生型マウスを用いて抗体による免疫染色法で検証を行うのみにとどまった。その一方で、研究者が主体となって行ってきたラセン神経節ニューロンとグリア細胞、そしてグリア細胞から分化させたニューロン様細胞の3者の遺伝子発現様式をトランスクリプトーム解析にかけた実験系のデータ解析が大きく進展し、前述の論文として出版することができた。Wntシグナルに関わる因子も複数変動を認めており、神経細胞の誘導に何らかの役割を果たしていることが示唆され、今後の研究に活かせる解析となった。
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Strategy for Future Research Activity |
Wntシグナルの時空間的解析を行う計画が遅延した一方で、トランスクリプトーム解析に進展があり、ラセン神経節再生への関与が予想される因子が複数ピックアップされた。H30年度は、可能な範囲でWntシグナル関連の解析を進めるとともに、研究協力者が進めているAdultマウスの神経障害後の神経再生についての解析を、自ら構築したデータベースと比較しつつ行っていきたい。Wntシグナルの活性が出生後一定期間で失われることと、神経の可塑性との関係を究明できれば、当初の研究計画における年次目標が達成できるものと思われる。
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Causes of Carryover |
予定していた国際学会への参加を中止したこと、国内学会出張を所属医療機関の旅費で賄えたことから旅費が生じなかった。次年度はin vivoの実験を行う予定であり、また旅費も必要に応じ払い出し予定。また、老朽化している解析用コンピュータの刷新にも用いる予定としている。
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Research Products
(3 results)