2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K16925
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
野田 哲平 九州大学, 医学研究院, 助教 (20707179)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | Wntシグナル / 聴神経 / 内耳 |
Outline of Annual Research Achievements |
新規WntレポーターマウスWntVISを用い、凍結切片の免疫染色によりラセン神経節におけるWntシグナルの時空間的な活性の変化を観察した。昨年度に行ったE15、E17、P0、P7、 P15に加えP30ののマウス内耳切片で、神経マーカーTuj1およびグリア細胞マーカーSox2の免疫染色を行った。E15からP7ではWntシグナル活性を示すGFP蛍光がTuJ1陽性のラセン神経節細胞で確認されたが、P15ではGFP蛍光を認めなかった。しかしながら、P30ではGFP蛍光が一部のシュワン細胞で認められ、ラセン神経節幹細胞として機能している可能性も示唆された。 一方、上記マウスを用いて、蝸牛のコルチ器や前庭有毛細胞・支持細胞におけるWntシグナル活性の変化も観察できた。哺乳類では蝸牛有毛細胞は再生能を持たないが、前庭有毛細胞はわずかに再生能を有する。蝸牛・前庭の支持細胞ではその一部にWntシグナル活性を示すGFP蛍光を認めたことは予想どおりであった。有毛細胞に着目すると、蝸牛有毛細胞でのWntシグナル活性は胎生期に有毛細胞の分化が完了した時点で失われるが、前庭ではP30でも一部の細胞で活性を維持していることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ラセン神経節におけるWntシグナル活性の時空間的解析は順調に進行しているが、機能解析は未着手である。一方で、これまで知られていなかった蝸牛・前庭の有毛細胞・支持細胞におけるWntシグナル活性の違いが明らかとなった。ラセン神経節のみでなく蝸牛・前庭についても検証を進めるべく、コロナ禍の特例で研究期間を延長した。
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Strategy for Future Research Activity |
ラセン神経節におけるWntシグナル活性を調節することによる再生能獲得が可能かどうか、まずin vitroでの検証を目指す。Wntレポーターマウスのラセン神経節を器官培養し、阻害剤によるWntシグナルの亢進・抑制下でどのような反応を示すかを検証する。本研究を発展させた基盤研究 (C)に採択頂いたので、今後3年間計画でin vivoでの検証まで行いたい。 また、蝸牛・前庭におけるWntシグナル活性の興味深い差異についても、同じマウスの内耳から採取できる検体を用いて検証していきたい。
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Causes of Carryover |
in vitroでの実験の遅延のため、消耗品の所要量が想定よりも少なかった。今後実験を進める際に、インキュベータや試薬、消耗品、in vivo実験での聴力検査システム等で使用する計画である。
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Research Products
(1 results)