2017 Fiscal Year Research-status Report
Impact on the hearing by lack of mitochondrial tRNA modifier
Project/Area Number |
17K16927
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
小川 晋太郎 熊本大学, 医学部附属病院, 医員 (10785190)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 加齢性難聴 / cdk5rap1 / tRNA修飾異常 |
Outline of Annual Research Achievements |
トランスファーRNA(tRNA)はmRNAからタンパク質への翻訳を仲介する小分子RNAである。tRNAには様々な転写後修飾が存在するが、哺乳動物においてtRNA修飾を行う酵素及び修飾の生理意義はあまり知られていなかった。最近になって、tRNA修飾の異常が2型糖尿病やミトコンドリア病の発症要因の一つであることが明らかになり、注目を集めている。 tRNA修飾異常は、様々な遺伝子変異により引き起こされるが、そのうちの一つに細胞核遺伝子であるcdk5rap1(CDK5 Regulatory Subunit Associated Protein 1)遺伝子がある。本遺伝子は、ミトコンドリアDNAがコードする4つのtRNA(mt-tRNATrp,mt-tRNATyr,mt-tRNAPhe及びmt-tRNASer)のアンチコドン近傍37位のアデノシンをチオメチル化(ms2)する。チオメチル化修飾は、tRNAとmRNAの結合を安定化することで、ミトコンドリアにおける効率的な翻訳を行っている。cdk5rap1欠損マウスでは、ミトコンドリアタンパク翻訳が低下し、好気呼吸が障害され、その結果、ミトコンドリア機能が低下し、エネルギー需要の多い組織である骨格筋及び心筋の機能が低下する。 当該年度には、cdk5rap1欠失マウスを産子し、若年モデルマウス(1か月、3か月)を作製した。同マウスの聴覚機能評価を行い、内耳形態学的評価として、HE染色、らせん神経節細胞数カウント、有毛細胞数カウントを行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
cdk5rap1欠失マウスの産子がスムースに進み、聴力評価と内耳形態学評価のためのサンプルを多く作製することができたため。また、これまでに我々が確立した実験手技が確実な結果を生んだため。
|
Strategy for Future Research Activity |
cdk5rap1欠失若年マウス(1か月、3か月)の内耳生理学的評価とミトコンドリア機能評価をう。 cdk5rap1欠失老年マウス(5か月、12か月)を作製し、内耳形態学的評価と聴覚機能評価および内耳生理学的評価とミトコンドリア機能評価を行う。
|
Causes of Carryover |
内耳生理学的評価およびミトコンドリア機能評価については、手技の慣れが必要であるため、まだ完遂できておらず、練習用サンプルの購入が必要であるため。 機材が一部不足しており学会発表および論文発表に足りる十分なデータが得られないため、機材購入にも予算を充当する。
|
Research Products
(1 results)