2018 Fiscal Year Research-status Report
インフラマソームを標的とした低出力超音波パルスを用いた新規歯内治療の基盤構築
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17K17116
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
須藤 瑞樹 東北大学, 大学病院, 医員 (40708046)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | インフラマソーム / LIPUS / マクロファージ / 抗炎症作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
マクロファージにより分泌されるIL-1βは、根尖性歯周炎の炎症を憎悪させ病態形成に重要な因子である。本研究の目的はIL-1βの分泌を制御している細胞内タンパク複合体であるインフラマソームに対する低出力超音波パルス(Low intensity pulsed ultrasound:以下LIPUS)の抗炎症効果について明らかにすることである。昨年度、マウスマクロファージ様株化細胞J774.1にLPS、ATP刺激、LIPUS照射を行い、pro-IL-1β、インフラマソームの構成分子であるNLRP3、Caspase1の遺伝子発現をリアルタイムPCR法、タンパク発現をウエスタンブロット法にて解析を行った結果、pro-IL-1β、NLRP3、Caspase1ともにLIPUS照射群では有意な遺伝子発現およびタンパクの抑制がみられたことをふまえ、今年度はより詳細な抗炎症作用のメカニズムの解析を行った。今年度はまずLIPUS照射におけるIκ-Bへの影響をウエスタンブロット法にて解析を行った。LPSによるIκ-Bの分解はLPS添加後30分後には回復してきたことをふまえ、LPS刺激後30分でのIκ-Bの分解に対してLIPUSの影響を検討したところ、LIPUS照射はIκ-Bの分解には関与していないことが示唆された。次にLIPUS照射によるIL-1β産生の抑制がどのシグナル伝達経路で生じているものかをウエスタンブロット法にて解析を行った。J774.1をLPSで刺激するとp65のリン酸化が誘導さたがLIPUS照射を行うとリン酸化は抑制された。すなわち、NFκ-B経路の活性化を抑制していることが示唆された。次年度はこれらの知見をもとにLIPUSによる詳細な抗炎症作用のメカニズムをさらに解析していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度、今年度と研究計画であるインフラマソームに対するLIPUS照射による抗炎症作用の検討に関してマウスマクロファージ様株化細胞J774.1を用いて解析を行った。J774.1をLPSで刺激する際、LIPSU照射を同時に行ったところ、pro-IL-1β、NLRP3、Caspase1ともにLIPUS照射群では有意な遺伝子発現およびタンパクの抑制がみられたことをふまえ、NFκ-B経路の活性化の有無を検討したところ、LIPUS照射によりp65のリン酸化が優位に抑制されていた。この解析をもとにさらに詳細な抗炎症作用のメカニズムの解析を進めることにより次年度の継続課題とすることができる。従って、以上の結果から現在までの研究の達成度は概ね順調と言える。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度および今年度の研究成果、すなわちインフラマソームに対するLIPUS照射による抗炎症作用に対してより詳細なシグナル伝達経路を明らかにしていくことが今後の研究目標となる。
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Causes of Carryover |
(理由) 次年度使用額は、今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額である。 (使用理由) 平成30年度請求額と合わせて、平成31年度の研究遂行に使用する予定である。
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