2017 Fiscal Year Research-status Report
Changes of swallowing function induced by thermal stimulation in oral - Elucidation of sensory-motor fusion system -
Project/Area Number |
17K17160
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
真柄 仁 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (90452060)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 嚥下障害 / 嚥下運動 / 口腔感覚 / 温度刺激 / 経頭蓋磁気刺激 / 運動誘発電位 |
Outline of Annual Research Achievements |
摂食嚥下リハビリテーションにおいて、間接嚥下訓練としての冷圧刺激は広く臨床に用いられているが、嚥下機能改善の機序は未解明な点が多い。本研究は、種々の温度刺激を口腔内に与えた際に生じる嚥下関連の神経活動に与える即時効果を経頭蓋磁気刺激(TMS)を用いて検証した。口腔内への温度刺激が嚥下機能に関連する感覚運動野の神経回路に対していかなる効果を及ぼすかを明らかにし、嚥下障害の臨床における口腔感覚入力の重要性を検討することを目的としている。本年度は温度刺激効果について、即時効果に注目して検証を行った。 対象は、嚥下機能に問題を認めない若年健常者18名(平均年齢27.1±3.2歳)とした。ペルチェ素子を備えた定温温度刺激プローベを舌上に置き、45℃、37℃、15℃の刺激前、中、後の、経頭蓋磁気刺激誘発性の咽頭筋および短母指外転筋誘発電位(MEP)を記録した。それぞれの温度刺激は2回ずつ行い、各試行間は5分の休息を設けた。得られたMEP波形から振幅の平均値を被験者ごとに算出し、刺激前のベース値からの変化率について反復測定分散分析を用いた要因分析を行った。 結果、咽頭筋のMEPにおいて、温度を要因とした反復測定分散分析では、15℃の口腔内刺激中において振幅の有意な増加を認めた(p < 0.05)が、短母指外転筋のMEPでは変化がなかった。舌背への冷温刺激時に認められた咽頭の皮質延髄路の興奮性の増加から、口腔内への冷温度刺激によって嚥下機能の即時的な変調効果が期待できるだけでなく、本研究の結果は、口腔感覚と嚥下運動の機能連関を示す根拠であると考えられた。 以上の内容は、7th European Society for Swallowing Disordersにて口演発表等を行った後、Neurogastroenterology and Motilityに論文投稿し、再査読中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究1年目で、当初2年目に予定していた論文投稿が完了し、温度刺激の長期効果に関する検討を開始している。
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Strategy for Future Research Activity |
即時効果の見られた冷度刺激(15℃)を口腔内持続的に10分間行うことによる長期効果について,36℃,45℃の刺激と比較検討する。具体的には10分間の連続温度刺激直後、15分、30分、45分、60分後までのTMS刺激によるMEPを計測し、温度刺激がもたらす長期効果を検証する。得られたデータは、大脳皮質部位(咽頭筋vs短母指外転筋)、時間経過(刺激前 vs 直後、15分、30分、45分、60分後),温度(15℃、36℃、45℃)を要因とした、定分散分析による要因分析を行い、口腔内への温度刺激による長期効果、神経可塑性変化がもたらされるかを検証する。
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Research Products
(6 results)