2021 Fiscal Year Annual Research Report
New development of cancer treatment by mTOR signal control of cancer-associated fibroblasts in cancer microenvironment
Project/Area Number |
17K17233
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
古舘 健 弘前大学, 医学部附属病院, 助教 (50638898)
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Project Period (FY) |
2021-03-01 – 2022-03-31
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Keywords | がん微小環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、口腔癌細胞と線維芽細胞の両者が存在するがん微小環境において、癌関連線維芽細胞(Cancer-Associated Fibroblasts:CAF)の栄養状態を反映するmTOR(mammalian target of rapamycin)シグナルが血管新生因子(Vascular Endothelial Growth Factor:VEGF)を制御する機構を調べた。転移群と非転移群の口腔癌のシングルセル解析データを用いて、転移群と非転移群の口腔癌細胞の発現変動遺伝子を比較すると、転移群ではmTOR signaling pathwayが検出された。また、転移群の口腔癌細胞では、腫瘍形成の抑制および細胞移動の促進に関与する分泌型シグナル伝達タンパク質のWNT5A(Wnt Family Member 5A)遺伝子の発現が亢進していた。口腔癌細胞が分泌したWNT5Aは、筋癌関連線維芽細胞(myofibroblastic cancer associated fibroblasts: myCAFのβカテニン非依存性の非古典的WNTシグナル経路を活性化し、myCAF のMCAM(melanoma cell adhesion molecule)遺伝子の発現が亢進していた。MCAM高発現のmyCAFは、VEGFおよびIL-6により、細胞間シグナル経路ネットワークを癌細胞、血管内皮細胞と、免疫細胞と形成していた。またVRGFおよびIL-6の機能は、免疫抑制性であることが知られている。本研究により、MCAM高発現のmyCAFが、VEGFシグナル経路ネットワークおよびIL-6シグナル経路ネットワークの細胞間相互作用により、腫瘍の進展促進、腫瘍血管新生および腫瘍免疫抑制に関与することが示唆された。
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