2017 Fiscal Year Research-status Report
気道確保困難時の病態形成に関わる舌根沈下や上気道閉塞の発生メカニズムの解明
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17K17290
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
立川 哲史 昭和大学, 歯学部, 助教 (60781036)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 上気道閉塞 |
Outline of Annual Research Achievements |
歯科治療を行う上で全身麻酔は広く使われているが、その安全性は保証されていなければならない。全身麻酔による致死率は極めて低いが、全身麻酔導入時に人工呼吸ができなくなり(Can’t Ventilate:CV)しかも気管挿管ができなくなり、(Can’t Intubate: CI)致死的な転帰を辿ることがある。このCVCIは歯科患者にも起こりうる危険な合併症である。この状態になると速やかに低酸素血症に陥り、心停止や重篤な脳障害が引き起こされるため、解決しなければならない重要な問題となっている。しかしながら、CVCIの病態形成に関わるメカニズムの詳細な解明はされていない。 全身麻酔や静脈麻酔に用いられる鎮静薬の多くには、呼吸抑制がある事は知られているが、その中でもとりわけ、α2作動薬には、呼吸抑制がほとんど無く、安全に管理ができると言うメリットがある。そこで、オピオイドを用いた実験と同様に、α2作動薬であり、臨床でも使われている塩酸デクスメデトミジンを灌流液中に付与し、その灌流液を用いて標本の自発呼吸活動及び、上気道構成筋群支配神経に対する影響を吸引電極を用いて電気的活動を記録、解析した。上記の実験で、それぞれの薬剤が上気道構成筋群支配神経に与える影響を知る事ができた。その上で、CO2負荷をかけて実験を行った。CO2負荷をかけた場合に観察できた、横隔神経と上気道構成筋群支配神経との活動の乱れが、上記の薬剤によってどのような影響を受けるのかを観察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
経動脈灌流標本の作成スキルは安定しており、作成時に大きなトラブルもないため。
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Strategy for Future Research Activity |
口腔生理学教室に所属する研究員と密に連携を図り、引き続き研究を行っていく。 さらなる標本の作製のため、技術の向上と、場合によってはバソプレシンを用いて標本の記録可能時間を延長し、データの数を多くしていく。
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Causes of Carryover |
想定したより初期投資にかかる費用を抑えることができたため、今年度の予算に比べて低く研究を行うことができた。また、人件費や謝礼に関しては今回共同研究などを行わなかったため、使用せず、費用の使用を抑えることができた。 次年度以降の研究では、使用する薬剤や、使用する予定の機器に購入しなければならない物品も想定されるため、今年度の使用を控えて抑えられた分を含めて運用していく予定である。
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