2017 Fiscal Year Research-status Report
歯髄、脂肪由来MSCsとアメロゲニン由来新規ペプチドの歯周組織再生への応用
Project/Area Number |
17K17328
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
粟田 哲也 広島大学, 医歯薬保健学研究科(歯), 助教 (90758179)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | アメロゲニン / バリアメンブレン / 間葉系幹細胞 / 歯周組織再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、エナメル質形成に重要な働きを持つと考えられているエナメル蛋白アメロゲニンの生理活性に着目し、アメロゲニンペプチドが脂肪および歯髄由来の未分化間葉系幹細胞(MSCs)および歯周組織構成細胞に及ぼす影響について明らかにする。また、アメロゲニンペプチドの作用機序の解明および生体内における有効性を検討し、臨床応用に向けて更なるデータの構築をはかる。平成29年度はヒト骨芽細胞株、ヒトセメント芽細胞株などの歯周組織細胞およびヒト脂肪由来MSCs、ヒト歯髄由来MSCsなどの間葉系幹細胞に対するアメロゲニンペプチドの影響についての検討を行った。アメロゲニンペプチドの添加によって、歯周組織細胞および歯髄、脂肪由来MSCsの細胞増殖や基質産生能などの代謝に影響を及ぼすことが明らかになった。また、アメロゲニンペプチドのシグナル伝達機構について検討を行った結果、アメロゲニンペプチド添加により脂肪由来MSCsのERK1/2のリン酸化蛋白質発現の増加と、ERK1/2のブロッキングによりこれらの減少が認められたことから、アメロゲニンはMAPK-ERK経路を介してMSCsの代謝に影響を及ぼしていることが示唆された。さらに、アメロゲニンペプチドの固定が各細胞に及ぼす影響について検討するため、カルボジイミド法を用いてアメロゲニンペプチドを金基板に固定し、SPR法を用いて結合量の定量・測定を行った。その基板上で細胞を培養することによって、MSCsの細胞増殖能や基質産生能は亢進することが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成29年度は、アメロゲニンペプチド(AMG-CP)添加が、ヒト骨芽細胞株 (Saos-2)、ヒトセメント芽細胞株 (HCEM)、ヒト歯根膜細胞株 (HPL)、ヒト歯肉上皮細胞株 (HOK)、ヒト脂肪由来間葉系幹細胞株 (ADS)、ヒト骨髄由来間葉系幹細胞株 (BMSCs) および歯髄由来間葉系幹細胞 (DPSCs) の増殖能・基質産生能に対する影響について検討を行った。また、生体材料に対するAMG-CPの固定方法の確立の検討を行った。in vitro 実験におけるAMG-CPの至適濃度については一定の知見が得られたが、AMG-CPをP(LA/GA)メンブレンへ固定する方法については、まだ検討中である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、AMG-CPを固定した基板上においてMSCsおよび歯周組織構成細胞の増殖能・基質産生能に及ぼす影響について検討を行う。さらに、ラット骨欠損モデルを作製し、欠損部にMSCsを播種したAMG-CP固定メンブレンとMSCsを被覆し、AMG-CPの骨再生効果に及ぼす影響について検証する予定である。 平成29年度の実験により、AMG-CP添加方法の至適濃度を特定したが、動物実験に応用するために、P(LA/GA)メンブレンにAMG-CPを固定する方法については更なる検討を行う予定である。予定している動物実験は、検討する至適条件が決定した段階で可及的早期に開始し、条件修正による再実験に備える。動物実験結果により修正が必要となる可能性がある場合には、動物実験の個体数を増加し、条件修正のための in vitro 実験と並行して行う 。
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Causes of Carryover |
実験器具の購入に使用する予定でしたが、金額が不足のため購入できませんでした。翌年度分の助成金と合わせ、実験器具の購入に使用します。
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Research Products
(5 results)
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[Presentation] アメロゲニン由来新規ペプチドと骨髄由来間葉系幹細胞を用いた骨再生療法への展開2017
Author(s)
粟田哲也, 国松亮, 吉見友希, 廣瀬尚人, 安藤和代, 麻川由起, 柄優至, 平田伊佐雄, 加藤功一, 丹根一夫, 谷本幸太郎
Organizer
第41回日本口蓋裂学会総会・学術集会
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