2017 Fiscal Year Research-status Report
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17K17365
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
關 奈央子 東京医科歯科大学, 統合国際機構, 助教 (10612690)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 歯科英語教育 / 歯学教育 / グローバル化 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本の歯学教育における歯学のための英語教育(以下「歯科英語教育」)に関する研究はほとんど行われておらず、教材についても検討があまりなされていない現状がある一方で、グローバル時代においては臨床等においても英語の運用能力は必要であり、その課題は軽視できない。そこで、初年度は歯科英語教育に活用できる教材を開発した。歯科診療外来に急患かつ英語しか話せない方が来院した想定のコンピュータシミュレーション教材(ESL歯科医師のための急患対応教材(以下「急患対応教材」))を開発し、委員会等2段階の検討を経て完成とし、その質を担保した。 開発教材をLearning Management System(LMS)上で配信し、研究協力者に学習して頂いたのち、教材の難易度、学習による知識獲得の有無(将来役に立つか)、継続的学習希望の有無、教材の操作性等をWeb上で質問票を用いて調査した。全ての協力者が教材は将来役に立つと回答し、高評価を得た。これより、本教材学習が歯科英語学習機会提供の一助となることが考えられたが、一方で歯科英語学習の機会が限られていることや個人の差が大きいことが伺えた。得られた評価とその分析等を元に教材を検討し、急患対応教材7本をシリーズとして完成させた。これにより、インターネット環境があれば、全国の歯科大学で使用可能な教材が一つ増えることとなる。平成30年度以降は教材を用いながら歯科臨床において必要な英語力に関する検討を行い、歯科英語教育について検討を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ESL歯科医師のための急患対応教材(以下「急患対応教材」)の開発を行った。これまでのノウハウを生かし、外来に急患かつ英語しか話せない患者が来院した想定の、インタラクティブな臨床に即したコンピュータシミュレーション教材を、東京医科歯科大学で開発した教材作成支援ツールを用い作成した。視覚・聴覚素材(会話などのリスニング)を提示しながら説明・問題文等を提示でき、臨床で英語が必要な場面では英語、解説は日本語とし、日本語母語話者が学習しやすい構成とし、臨床における英語でのコミュニケーション技法を学習できるように工夫するのみならず、臨床ステップごとの問題が、臨床推論・判断能力の学習に効果的であるように作成した。開発教材は使用する前に学内の委員会等において二段階評価にてその質を保証した。本研究に参加を承諾した研究協力者に教材をLearning Management System(LMS)上で配信し実施させて、教材の難易度、学習による知識獲得の有無(将来役に立つか)、継続的学習希望の有無、教材の操作性等をWeb上で質問票を用いて調査した。全ての協力者が教材は将来役に立つと回答し、教材の有用性は高く、歯科英語学習機会提供の一助となることが考えられた。
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Strategy for Future Research Activity |
開発した教材を用いて、状態不安に関する分析や臨床におけるパフォーマンスのアウトカムを評価し、歯科臨床において必要な英語力に関する検討を行い、学部段階で学ぶべき歯科英語教育や未だ確立されていない歯科英語教育について検討する。 1. 状態不安軽減効果に関する検討:臨床において、歯科医師が英語運用能力に自信がない状態など、緊張状態や状態不安が高まった状況で英語をもちいる必要がある場合、ミスコミュニケーション(不十分な情報収集)、ラポールの不確立、緊張によるパフォーマンスの低下など様々な懸念事項が考えられる。英語学習機会不足がその不安に影響を与えているかどうか、また、学習によってその不安が軽減するかどうかを検討する。 2. 臨床におけるアウトカム評価:本教材学習によって英語でのコミュニケーション能力や臨床(対応)能力が向上したかを評価する。筆記試験や、可能であれば模擬患者(SP)により、英語しか話せない患者が診療室に来院した状況下におけるパフォーマンスを客観的に評価する。 3. 歯科英語教育についての検討:歯科英語教育の必要性やその重要性を考察する。どの程度の英語力が臨床に必要かを分析し、学習に必要な時間数やカリキュラムについての提言や考察をおこなう。 4. 歯科英語教育教材の検討:臨床能力の向上に貢献できるインタラクティブなシミュレーション教材を引き続き開発する。
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Causes of Carryover |
研究は概ね順調に進んでいるが、当初の予定より1-2ヶ月ほど遅れており、その計画を平成30年度に行う予定である。そのため予定していた金額を翌年度使用予定とした。
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