2019 Fiscal Year Research-status Report
The Disaster Recovery and Adaptation in the Small Aral Sea Region on the Basis of Sustainable Human-Environment Relationship
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17K17563
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Research Institution | Nagoya University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
地田 徹朗 名古屋外国語大学, 世界共生学部, 准教授 (10612012)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 中央アジア / アラル海 / 開発と環境 / 環境政策 / サステイナビリティ / 牧畜業 / 災害復興 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成31/令和元年度は、①研究計画書にある「小アラル海地域の持続可能な環境・社会・経済のあり方の模索」に係る小アラル海現地関係者との意見共有、並びに、②過去2年間の研究成果のアウトプットを重点的に実施した。 ①については、11月にロシア連邦サンクトペテルブルグ市に出張し、ロシア科学アカデミー動物学研究所が主催の第2回アラル海問題国際会議に出席し、研究協力者であるN・アラディン同研究所教授や、アラル海救済国際基金カザフスタン執行本部代表、バルサケルメス自然保護区事務所長など、現地関係者との意見交換を実施した(他科研支弁)。また、2月にカザフスタン共和国ヌル・スルタン市、クズルオルダ州アラリスク地区に出張した(一部、他科研支弁)。在カザフスタン共和国日本国大使館にて大使を交えてアラル海問題への今後の支援のあり方について意見交換をし、小アラル海を版図に含むアラリスク地区では副地区長やクランドゥ村管区長らと意見交換の機会を設けた。その結果、今後とも小アラル海地域の漁業・牧畜の実態に関する調査研究を進めると共に、現地の持続可能な環境・社会・経済のあり方の構築に資する一つのアクションとして、草の根・人間の安全保障無償資金協力スキームの活用可能性について今後模索していこうと構想するに至った。 ②については、研究計画書で予定したとおり、7月に欧州中央アジア学会(ESCAS)大会(イギリス・エクセター大学)にて、小アラル海地域におけるレジリエンスと牧畜の頑健性に関する研究報告を行った(他科研支弁)。また、3月に日本中央アジア学会2019年度年次大会にて、本科研のスコープである地理や環境の視点を組み込んだ中央アジア地域研究のあり方について報告・ディスカッションを行った(オンライン開催)。その他、複数の関連国内研究会に出張し、本課題に関連する学術書の購入と読解・分析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
勤務校での教育業務負担が増えたことで多忙になり、次年度まで科研費を持ち越すことになった。中でも、研究計画書で示した研究内容のうち、「我が国によるアラル海災害に対するコミットメントの総括」についての研究が遅れている。日本でアラル海地域支援にかかわってきたと研究者・実務家にコンタクトを取ったものの、実際に対面で聞き取りをする前に新型コロナウイルス禍に見舞われ、この内容での研究の遂行が難しくなってしまった。「アラル海救済策・災害被害緩和策の整理」、「アラル海災害への地域社会の適応と災害復興の通時的検討」については、ファクトの整理の部分については概ね終えたと言い得るが、さらに一次・二次資料の収拾・分析を行うことで細部にわたる情報の整理をする必要がある。「小アラル海地域の持続可能な環境・社会・経済のあり方の模索」については、研究計画どおり、今年度は大いに進展させることができたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、研究計画書にある研究内容の中で特に遅れている「我が国によるアラル海災害に対するコミットメントの総括」についてまず重点的に取り組む。それと共に、本研究全体について総括するような論文の執筆に取り組みたいと考えている。また、本研究課題を公の場で総括し、知識の社会還元を図るべく、カザフスタンから研究協力者であるTalgarbay Konysbaev氏を日本に短期間招聘し、国内でセミナーを組織し、共同報告等を実施する(11月を予定)。ただし、これは新型コルナウイルス禍の状況如何にかかっており、研究計画の変更もあり得る。
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Causes of Carryover |
平成31/令和元年度は、学期中及び夏季休暇中の勤務先の教育・事務負担の増加(4月~1月)と、2月末より本格化した新型コロナウイルスの蔓延により、本科研費支弁での国内外での研究調査の実施が不可能になったことに伴い、当初の研究計画の遂行に遅滞をきたしたため、次年度に本科研費の使用を持ち越すことになった。令和2年度にあっても、国内外での研究調査実施は新型コロナウイルス禍により予断を許さないが、当初研究計画にある「我が国によるアラル海災害に対するコミットメントの総括」に係る国内での聞き取り調査の実施と、本課題全体の総括のために研究協力者(Talgarbay Konysbaev)を日本に招聘してのセミナー実施、総括論文の執筆等に資金を充てる予定である。
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[Book] 現代地政学事典2020
Author(s)
『現代地政学事典』編集委員会編、(地田徹朗ほか分担執筆)
Total Pages
888(146-147, 364-365, 550-551)
Publisher
丸善出版
ISBN
978-4621304631
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