2018 Fiscal Year Research-status Report
Context-specific roles of Notch signaling in mouse liver cancer models
Project/Area Number |
17K17573
|
Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
山本 雅大 山形大学, 医学部, 助教 (30431399)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | Notchシグナリング / 肝腫瘍 / 転移 / Myc / Ras-MAPキナーゼ経路 / 上皮間葉転換 |
Outline of Annual Research Achievements |
肝腫瘍は様々な形質や生物学的な特徴を示すが、それらが腫瘍のどのような遺伝子変化に起因するのかは不明である。この疑問を解決するために、Sleeping Beautyトランスポゾンマウス発癌モデルを用いて、発癌に要した遺伝子の組み合わせと形成された腫瘍の形質や生物学的な特徴の関連を検討してきた。肝発癌に重要な役割を果たすNotchシグナリングは、同時にRAS-MAP経路を活性化させると肉腫様の形質を示す腫瘍が、Mycを同時に活性化させると高率に肺転移を起こす肝芽細胞様の特徴を示す腫瘍ができる。この結果は、Notch経路はそれと同時に活性化するシグナル経路のコンテクストに依存して、その役割が大きく変わることを示唆しているが、その詳細な機序は不明であったため、本研究の課題として取り組んでいる。 Notch経路とRAS-MAP経路の活性化により誘導される肉腫形質を示す肝腫瘍については、これまでの検討で上皮-間葉転換が重要な役割を果たしていることを明らかにしてきたが、肉腫様の形質が腫瘍発生直後から見られるのか腫瘍が成長するに従い徐々に出現するのかは不明であった。肝細胞にがん遺伝子を導入後の腫瘍形質を経時的に検討したところ、肉腫様の変化はがん遺伝子導入2週間後からすでに見られ、この変化はNotchとRAS-MAP経路の活性化による直接的な変化であることが示唆された。 一方、Notch経路とMycの活性化により誘導される肺転移を伴う肝腫瘍については、これまで組織学的に肺転移の程度を検討していたが、定量性が低いという問題があった。そこでルシフェラーゼ遺伝子を腫瘍に同時に導入することで、発光を高感度に検出するイメージ機器のIVISで定量的に肺転移を検出できるようになった。 また、マウスに誘導した腫瘍組織より腫瘍細胞株を樹立することに成功し、今後これらを用いた検討を行う。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2018年4月より現在の所属の山形大学医学部腫瘍分子医科学講座に異動になり、実験のセットアップに時間が必要であったため。一方で、山形大学医学部には前任地にはなかったイメージ機器のIVISシステムが設置されており、当初の予定になかったがそれを利用して研究を進める新たな方向性を見いだすことができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
肉腫様肝がんモデルについては、十分なデータが得られたので論文にまとめる。 肺転移モデルについては、薬剤を用いたex vivo、in vivoでの検討を進める。NICDとMycにより誘導した肝腫瘍より樹立した細胞株を様々な薬剤で処理した後に、尾静脈より細胞を注入し肺転移の程度を検討するex vivoモデルを用い、その薬剤により抑制または活性化するどの様なシグナルが転移に重要な役割を果たしているのかを明らかにする。更にその結果を基に、Sleeping Beautyトランスポゾンで肝腫瘍を作ったin vivoマウスモデルにて、その薬剤の投与が肺転移に同様の影響が示すかを確認し、Notch経路とMycの活性化による肺転移の機序を明らかにする。
|
Causes of Carryover |
異動に伴い研究計画に比べ研究の遂行が遅れたため次年度使用額が生じた。 次年度に計画通り研究を終える。
|
Research Products
(1 results)