2017 Fiscal Year Research-status Report
リチウムイオン電池正極材料の弾性定数のLi量依存性評価
Project/Area Number |
17K17603
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
木村 勇太 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (60774081)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 評価装置の開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、リチウムイオン電池正極材料の多結晶緻密体試料および単結晶試料の作製、機械的特性評価に用いる一軸圧縮試験装置の製作、ならびに機械的特性評価を行う計画であった。単結晶試料の作製は、典型的な正極材料である、コバルト酸リチウムを対象に、東北大学多元物質科学研究所が所有する装置を用いて、フローティングゾーン法で行った。単結晶作製中におけるLiの蒸発分を補うため、炭酸リチウムとコバルト酸リチウムの混合粉を原料粉に用いた。炭酸リチウム:コバルト酸リチウムの混合割合、温度、移動速度等の育成条件を検討したものの、現段階では単結晶試料の作製には至っていない。また、放電プラズマ焼結装置を用いて多結晶緻密体試料の作製も試みているものの、現段階では測定に供することのできる試料の作製には至っていない。一方で、万能試験装置INSTRON 5565に取り付け可能な、一軸圧縮試験用の治具の製作は完了した。一軸圧縮試験は、ロードセルを用いて試料に荷重を負荷し、試料と平行に設置した変位棒の変位を、レーザー変位計で読み取ることによって行う機構とした。アルミナ、SUS304、およびジルコニアの、直径2 mm、高さ4 mmの標準試料を作製し、それらの応力ひずみ曲線の測定を行うことで、同装置を用いて正しく弾性率を測定できることを確認した。単結晶試料の作製が完了し次第、開発した一軸圧縮試験装置を用いて機械的特性評価を行う予定である。単結晶試料の機械的特性評価は未完了であるものの、第一原理計算を用いて、LiCoO2 (LCO)の、各Li量における安定構造および弾性定数を計算した。今後は計算で得た値と、実験で得られた値を比較して、Li量の変化により弾性定数が変化するメカニズムを考察する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
リチウムイオン電池正極材料の単結晶試料ならびに多結晶緻密体試料の作製に成功しておらず、その後の機械的特性評価が行えていないことが原因である。
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Strategy for Future Research Activity |
単結晶試料の購入を検討する。また、単結晶の合成が難しい材料に関しては、エピタキシャル薄膜試料を準備し、ナノインデンテーション法で機械的特性評価を行う予定である。
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Causes of Carryover |
単結晶試料の作製が遅れているために、試料を充電するために必要なポテンショガルバノスタットを購入していなかったことが理由である。本年度は、ポテンショガルバノスタットを購入する予定である。
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