2019 Fiscal Year Research-status Report
Immediate geological interpretation of sediment disaster area using UAV remote sensing
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17K17613
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
若狭 幸 弘前大学, 地域戦略研究所, 助教 (40442496)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | UAV / ハイパースペクトル / リモートセンシング / 地質 / 土砂災害 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は2018年度に取得したハイパースペクトル画像の処理を実施した。取得した画像は1カ所につき、2セットずつあり、1セットは46枚の画像からなる。それぞれの画像は10nmごとに波長を変えて取得しているため、取得した画像を結合させると、面的なスペクトルデータが得られることになる。画像の結合のために、第一に位置補正を実施し、46枚の1セットが重ねられた。それぞれの画像セットは標準色となる灰色のマットを画角内に設置し取得した。マットは実験室でその反射特性が取得され、その値を標準値として変換係数を求め、得られた画像を変換した。得られた結合画像はピクセルごとに異なるスペクトル特性を表現していたが、スペクトルライブラリーなどの結果を比較すると合致するものではなく、さらなる試験が必要であることが明らかになった。しかしながら、対象とする画像内での分類には十分な特徴を得られており、画像内で教師データを取得して空間分布解析を実施することができた。得られた空間分布解析結果と現地調査で得られた地表面土壌試料の鉱物組成結果は調和的であり、本研究の目的であったUAVリモートセンシングを用いた地質情報の判読システムの構築が達成された。 これらの解析結果および調査方法について、国内会議で2回の研究発表を実施し、論文を2本投稿した。また、地域の住民である、地元小学校の小学3年生、および地元の商工会議所ら等に対し当該研究内容を説明した。さらにその他企業に対しても本手法の説明や成果を説明し、今後の共同研究やさらなる技術の発展に向けて意見交換を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、研究期間内にハイパースペクトル画像をUAVを用いて取得するシステムや、取得の手順、注意事項などを含めた一連の手法の確立ができた。また得られた画像を処理するための、知識、技術、ソフトウエアなどを含めた手法に関しても確立された。一方で、実際のフィールドにおいても実際データを取得し、調査することもできたし、空間分布解析結果も得られた。さらに、これらのシステムや方法について、一般社会への説明を実施し、今後は企業との連携に向けた議論も進んでいる点については、当初の予定通りに進展している。 一方、2019年度より所属機関が変更になり、ハイパースペクトルカメラは以前の所属先に登録された機材であることから、2019年度からはカメラを使用した実験ができなくなってしまった。また、研究機関異動当初は十分な研究環境ではなく、学会発表の登録や論文の執筆が計画よりもやや遅れてしまった。しかしながら、本研究に必要なデータはすでに2018年度に取得していており、2019年度に必要な作業はデータの解析のみであったため、それほど問題にはならなかった。また、研究成果に興味を持った研究者や企業が現れたことにより、さらに研究を発展させる方向性ができたため、当初の計画以上の成果が得られた。また、当初予定していた国際会議による発表は予定通りにできなかったが、研究機関の延長により、2020年度に実施する予定である。研究費の基金化により柔軟に研究が実行できているため、本研究はおおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで用いていたハイパースペクトルカメラは600~1050nmの範囲の画像取得しかできなかったため、今後は粘土鉱物の反射特性を取得できるカメラを取得し、粘土鉱物を対象としたUAVハイパーリモートセンシングを行う。粘土鉱物は土砂災害のみならず、地熱開発地域の探査、土壌分野など幅広い分野で利用される対象であるため、その開発を早急に進めたい。しかし、粘土鉱物の反射特性は1900~2500nmであり、この範囲の画像の取得には高額な素子を使用しなければならない。そのためにより大型の外部資金の獲得が必要となる。
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Causes of Carryover |
2019年度末に参加予定であった学会が、新型コロナウイルスの感染拡大の影響のため中止となった。また、2019年度に参加する予定であった国際会議には、2019年度から所属機関が変更となったため、研究環境が十分に整っていない間に申請期間になってしまったので、2020年度に参加することにした。これらの学会への参加費と旅費のための必要経費が次年度に繰り越されている。
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Research Products
(5 results)