2017 Fiscal Year Research-status Report
空間群の対称性や電子数に基づいたトポロジカル半金属や量子スピン液体の一般的理解
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17K17678
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渡辺 悠樹 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 講師 (20785323)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | トポロジカル絶縁体 / 量子多体系 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の長期的な目標は「相互作用する量子多体系の性質を空間群などの系の対称性や電子のフィリングなどに基づいて非摂動的に予言する一般論を発展させること、そしてその結果を物質探索に応用すること」である。平成29年度は特に、これまでのLieb-Schultz-Mattis定理ではカバーできていなかった「フィリングが整数でかつ空間群が symmorphicであるとき」への一般化を試みて、それに成功した。すなわち電子間相互作用が強く各サイトあたりに1つ電子が局在している場合に限定すれば、その極限においてはスピン模型としての記述が有効となる。このスピン模型に対して、「Lattice homotopy」という新しい分類を提案し、このhomotopyクラスが自明でない場合には「基底状態が縮退するか、ギャップレスの励起が現れる」というLieb-Schultz-Mattis定理の拡張を得た [H. C. Po, H. Watanabe, C.-M. Jian, and M. P. Zaletel, Phys. Rev. Lett 119, 127202 (2017)]. また、これとは独立な発展として、Lieb-Schultz-Mattis定理を磁気空間群を含める改良をすることに成功した [H. Watanabe, Phys. Rev. B, in print (2018)]. この他にも物質のもつ空間群や磁気空間群の対称性の固有値と、物質のトポロジーとの関係に着目し、Harvard大学の共同研究者や東大の自身の研究室の学生と5編の論文を発表した。例えば、学生と行った研究では、物質の量子ホール効果に対して相互作用や不純物が含まれているでも成立する新しい定理を提案し、証明した。[A. Matsugatani, Y. Ishiguro, K. Shiozaki, and H. Watanabe, Phys. Rev. Lett 120, 096601 (2018)]
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
新しい共同研究者やその他の研究者との議論を通して、様々な新しい発見があり、当初自分が想定していた以上にインパクトがある結果を複数のトピックに対して得ることができた。結果として、今年度だけで合計9編の論文を発表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度は当初の予想以上の成果を出すことができたので、今後も同様に研究に集中する。また、新しいテーマや共同研究者が得られるようにネットワークも広げることを意識していく。
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