2018 Fiscal Year Research-status Report
脊椎アライメントの概念を導入した新たな腸腰筋の機能解剖
Project/Area Number |
17K18004
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
近藤 章 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 助教 (60767284)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 脊椎アライメントと腸腰筋 / 手術による腸腰筋の動き / 手術手技詳細の検討 / 仙腸関節角度と脊椎アライメント / 手術による腰椎前弯形成 / 側方進入椎体間固定術 |
Outline of Annual Research Achievements |
脊椎アライメントの概念を導入した新たな腸腰筋機能解剖という研究課題に対して、腸腰筋が注目されるきっかけとなった側方進入椎体間固定術(LLIF)において、腸腰筋の位置が脊椎アライメントにより異なっていることや、LLIF前後で腸腰筋がどのように動いているかを明らかにした。脊椎アライメントが不良な状態では腸腰筋は、より前方に位置し、LLIFにより脊椎アライメントが改善すると腸腰筋は後方に移動する。手術により腸腰筋が本来の位置に近い後方に移動することにより、腸腰筋は脊椎の良好なアライメントを維持し、安定化させる本来の機能を果たすことができる。脊椎変形矯正手術は脊椎アライメントを改善するのみならず、腸腰筋機能も改善する可能性が示唆された。 また、安全なLLIF手技の確立も本研究の目的のひとつであり、LLIFに関連して脊柱変形矯正手術に際して仙腸関節を貫くスクリュー(S2-Alar-Iliac screw;S2AI screw)についても検討を行った。仙腸関節の解剖と脊椎アライメントとの関連につき検討を行い、脊椎アライメントを論じる際に重要な骨盤のパラメータであるPelvic Incidence(PI)、Pelvic Tilt(PT)が大きい症例では仙腸関節は矢状面に対して前方の開きが小さくS2AI screwは刺入しやすい傾向があることが明らかとなった。 さらに、LLIFにより腰椎の前弯が作られるが、その際にケージ設置位置が前弯形成に影響するかを検討した。ケージを前方に設置した方が、より前弯形成がなされることが明らかになった。 また、上記LLIFの手術成績と従来から広く行われている後方進入椎体間固定術(PLIF)の術後成績につき比較検討を行った。LLIFの方が前弯形成、椎間板高増大効果は良好であるが、術後1年での骨癒合や矯正損失には注意が必要であることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上記のように脊椎手術症例のデータ収集、解析、新たな検討など順調に進めている。 しかしながら、腸腰筋筋力と脊椎アライメントのデータの蓄積がまだ少なくやや遅れている状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
健常者や腸腰筋が付着している大腿骨小転子が機能しなくなる大腿骨転子部骨折患者のデータを集積して、解析、検討をすすめたい。 特に脊椎アライメントと筋力、筋肉量の関係性について研究をすすめる。 さらにどのような運動が良好な脊椎アライメントの維持に効果的なのか検討をすすめる。 以上の結果をまとめて、最終的には健康寿命を伸ばすために脊椎アライメントを良好に保つための運動、対処法を示したい。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた。 研究の進捗状況により、必要な経費の額や時期が予定と異なった。 次年度以降の研究経費を補填したい。
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Research Products
(3 results)