2019 Fiscal Year Research-status Report
筋細胞と毛細血管のクロストークに着目したインスリン抵抗性治療法の開発
Project/Area Number |
17K18028
|
Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
金指 美帆 県立広島大学, 保健福祉学部(三原キャンパス), 助教 (10734527)
|
Project Period (FY) |
2018-02-28 – 2022-03-31
|
Keywords | インスリン抵抗性 / 骨格筋 / 微小血管障害 / 糖尿病 / 肥満 / 磁気刺激 |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】筋細胞と毛細血管のクロストークに着目した,肥満における骨格筋インスリン抵抗性の治療法を開発することである.インスリン抵抗性モデル動物の骨格筋に対し,機械的刺激による筋収縮で筋細胞の酸素需要増大を介した毛細血管新生と,血管増加剤(プラゾシン)を用いた筋細胞での酸素需要増大を介さない化学的な毛細血管新生を誘発する.その後,毛細血管の構造的・機能的側面に着目して比較検討することで,筋細胞-毛細血管のクロストークメカニズムを解明する. 【方法】初年度(2018年度)~今年度(2019年度)は,「実験1:機械的毛細血管新生と化学的毛細血管新生における構造・機能・新生メカニズムの比較」の予定であり,今年度計画の通り,インスリン抵抗性モデル動物の後肢骨格筋に対する磁気刺激(機械的毛細血管新生)とプラゾシンの経口投与(化学的毛細血管新生)を実施した.各介入の効果検証として,インスリン負荷試験,ウエスタンブロッティング法によりインスリン負荷前後のヒラメ筋のphospho-Akt/Akt値,毛細血管の構造評価,筋量(ヒラメ筋湿重量,筋横断面積)・筋質(SDH活性,代謝バイオマーカーの検証)の評価を実施した.さらに,次年度計画の予備的検証として高脂肪食摂取による肥満ラットの作製を実施した. 【結果】昨年度作製した廃用性筋萎縮モデルにおいて,対照群と比較したインスリン刺激前後のphospho-Akt/Akt値に有意な低下を認め,廃用性筋萎縮によりインスリン抵抗性を惹起することを明らかにした.廃用性筋萎縮に対し機械的刺激を行うことで,筋萎縮の抑制には成功したが,毛細血管退行予防には至らず,インスリン感受性の改善も得られない結果となった.一方で,プラゾシン投与による発芽性血管新生を促すことで,廃用性筋萎縮に伴う骨格筋毛細血管退行抑制を介した骨格筋代謝機能低下予防,そして筋萎縮抑制効果が得られることを明らかにした.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
今年度予定していた,ウエスタンブロッティング法を用いたインスリンシグナルの解析,および毛細血管新生/退行に関連するタンパク質解析,血管の構造解析を実施した. また,最終年度(2020年度)の計画である「実験2:生体内骨格筋のインスリン感受性に対する機械的刺激及び血管増加剤の影響の比較」のうち,生体内骨格筋のインスリン感受性に対する磁気刺激の効果についてモデル動物の作製,サンプリング,メカニズム解析を除く毛細血管の評価およびインスリン感受性の解析までが終了している.さらに,インスリン抵抗性モデルとして高脂肪食摂取による肥満ラットの作製方法を確立した. 以上のことから「当初の計画以上に進展している」と判断した.
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究は3年計画で実施予定であり,最終年度となる次年度(2020年度)において,「実験2:生体内骨格筋のインスリン感受性に対する機械的刺激及び血管増加剤の影響の比較」を実施する予定であったが,今年度中に実施可能であったため,モデル動物の作製と一部の解析が終了している.したがって,次年度は各介入の作用メカニズム解析を中心に,リアルタイムPCR法およびウエスタンブロッティング法による遺伝子・タンパク質解析,共焦点レーザー解析による毛細血管の構造解析等を進め,研究成果の発表および論文執筆を予定している.
|
Causes of Carryover |
当初の計画以上に進展したため,前倒し支払請求を行い,次年度購入予定としていたタンパク質解析及び遺伝子解析用の抗体,電気泳動及びリアルタイムPCR関連試薬を購入した.一点,抗体の年度内入荷が間に合わず,次年度の入荷となったため,相当額が次年度へと繰り越しになった.
|
Research Products
(5 results)