2018 Fiscal Year Research-status Report
Regulation of cyclin D1 gene expression by lncRNA transcribed from its promoter region
Project/Area Number |
17K18065
|
Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
米田 竜馬 埼玉医科大学, 医学部, 助教 (00734881)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | RNAメチル化 / m6A修飾 / lncRNA / CCND1 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は主にpncRNA-Dのメチル化(m6A修飾)の影響について研究を進めた。昨年度の結果より、pncRNA-Dは通常、高いメチル化レベルを示し、メチル化レベルが減少すると半減期が延び、さらにpncRNA-Dのm6Aには核内RNA結合タンパク質であるYTHDC1が主に結合していることを明らかにした。しかし、YTHDC1をノックダウンしてもpncRNA-Dの半減期に変化はなかった。そこでpncRNA-DとTLSとの結合に関与しているのではないかと予想した。 m6A修飾が起こりやすい配列としてGGACUという配列が知られているが、602塩基の全長を持つpncRNA-Dの配列中には一箇所しか存在しない。さらにその配列の周辺はRNA結合タンパク質TLSとの相互作用において重要であることが分かっている。そこでGGACU配列を中心に20ntのRNA断片を合成し、m6A修飾有無により2つのRNA断片を用意した。 まずm6A修飾の有無により上記のRNA断片とTLSとの結合が変化するか、RNA断片とHeLa核抽出液を混ぜて確認したところ、m6A修飾が入っている断片でTLSとの結合が弱まった。in vitroの実験系でも、強制発現したYTHDC1を添加すると、低濃度よりTLSとの競合作用がみられ、等量を入れたところ完全に結合を阻害した。またYTHDC1をノックダウンしたHeLa細胞より作製した核抽出液との反応では、m6A修飾が入ったRNA断片においてTLSとの結合が回復した。 RNAメチル化や高浸透圧ストレスが細胞周期に及ぼす影響についても検証した。METTL3をノックダウンすると、細胞周期がG0/G1期で止まることがわかった。高浸透圧でも同様の結果が得られた。そこで同じタイミングでpncRNA-Dをノックダウンすると、細胞周期のアレストが若干ではあるが解消された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はlncRNAのメチル化という、研究が進んでいない分野でその意義を一端を解明することができた。RNAメチル化や高浸透圧ストレスによる細胞周期のアレストを、pncRNA-Dのノックダウンにより部分的に解消することを明らかにした。また細胞周期との関連や、そこにlncRNAがどう関与していくかの手がかりとなる研究結果を得ることができた。当初計画していた研究項目を達成できたため、(2)の評価とした。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度の結果より、pncRNA-Dが細胞ストレス応答のみではなく、通常の細胞周期にも関与していることが予想されたので、pncRNA-Dと細胞周期、細胞増殖につい研究を進める。 またpncRNA-Dを外部から細胞に導入することで、細胞増殖に影響が出るかHeLa細胞だけではなく、pncRNA-Dが高発現しているMCF7細胞など様々な細胞を用いて検証する。pncRNA-Dによる細胞増殖への抑制効果が確認できれば、pncRNA-Dを断片化し有効な断片を探索する。
|