2017 Fiscal Year Research-status Report
Effectiveness of three-dimensional image analysis for surgical simulation of living donor kidney transplantation with multiple renal artery graft
Project/Area Number |
17K18127
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
富田 晃一 東京医科大学, 医学部, 助教 (10647267)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 生体腎移植 / 腎動脈 / 副動脈 / グラフト / 再建 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、生体腎移植におけるグラフトの副動脈の再建の要否を決定する事を目標としている。現在、3D画像解析システムについて症例の集積および技術の修得を順調に行えており、シミュレーションを安定的に行う方法を確立しつつある。シミュレーションに要する時間も大幅に短縮しており、現在は1症例あたり10分~15分程で行えるようになった。解析手法を身につけた医師も増え、複数人の体制で多忙な臨床業務の中でも問題なくシミュレーションが行えるようになった。更に、これまでの過去の症例について後方視的に解析を行うと共に、研究開始後は新たな手術症例についてもあらかじめ術前にシミュレーションを行う事とし、その体制も確立した。
現在では、複数腎動脈を有すると考えられる症例については事前に詳細なダイナミック造影CTを撮影し、術前に3Dシミュレーションを行って副動脈の灌流領域を算出している。これを元に科内のカンファレンスで腎動脈の再建の要否を判断し手術に臨んでいる。実際の手術では、back tableでのbench surgeryで灌流域の妥当性を確認している。これまでに術前シミュレーションとの大幅な乖離は経験していない。本シミュレーションがドナー手術およびレシピエント手術の両方で非常に有用である事を実感している。
上記を踏まえ、過去の50症例の検討を元に英文論文を作成した。校正を終え現在投稿中である。Transplant International (IF: 2.93)に投稿し幾つかの点で残念ながらRejectであったが、Reviewerからの反応は強い興味を示すものが多かった。校正を重ねた後、Transplantation (IF: 3.73)に投稿予定である。最終的なJournalについては未定であるが、出版を達成したいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで、当初の研究予定を概ね順調に遂行できている。既に、3D画像解析システムを用いて術前シミュレーションを行う手法を確立しつつあり、研究計画の初期段階で予定していた過去の症例のretrospectiveな解析を終了した。その結果は英文論文にまとめ、現在投稿中である。
また、本研究が開始する前に行っていた、目視による大まかな灌流領域の推定との整合性についても検討した。その結果、本手法の方がより詳細に術前評価を行え、また脈管の走行を詳しく評価できるのに加えて、灌流領域の妥当性も確認できた。
これらを踏まえた上で、本手法が実臨床でも十分使用に耐え得ると判断し、当研究を院内の倫理委員会に申請し許可を得た。その上で実臨床での使用を開始し、現在は複数腎動脈が予想される全ての生体腎移植症例に対して本手法による術前3Dシミュレーションを行っている。その結果、ドナー・レシピエント共により安全な手術が可能となっており、効果を実感している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究計画として、当初の予定通り3D画像解析システムと他のmodalityとの融合を図りたいと考えている。これは、術前3Dシミュレーションの手法が確立した次段階の研究として予定していたものである。
具体的には、まず Indocyanine green (ICG) navigationとの融合を図る。当科では既にICGを用いたnavigation手術を複数の領域で行っているが、これを本研究の3Dシミュレーションと融合する。術前の3Dシミュレーションで想定した動脈走行・灌流域を目標に、ドナーの手術中にICGを静注し実際の生体内での灌流域を評価する。また、ICG navigationは3Dシミュレーションでは分からない尿管の灌流の有無も評価できるため、副動脈の再建の要否に役立つと考える。
また、腎動態シンチグラフィと3D画像解析の融合を検討する。腎動態シンチグラフィは、ドナーの術前腎機能評価のため全症例で行っている検査だが、これを3D画像解析システムと融合させる事で、各副動脈の灌流領域の機能評価ができると考えている。残念ながら、現在主に行っているMAG3腎動態シンチグラフィでは融合が難しいことが判明しており、今後別の腎動態シンチグラフィを用いたいと考えている。
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Causes of Carryover |
当年度は、予定した程経費を必要としなかったため次年度使用額が生じた。また、国際学会への参加がなかったため旅費も未使用である。
次年度は、研究の進行に応じて更に諸経費が必要となり、また国際学会へも参加予定である。
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