2019 Fiscal Year Annual Research Report
Effectiveness of three-dimensional image analysis for surgical simulation of living donor kidney transplantation with multiple renal artery graft
Project/Area Number |
17K18127
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
富田 晃一 東京医科大学, 医学部, 助教 (10647267)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 生体腎移植 / 腎動脈 / グラフト / 再建 / シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
生体腎移植術において、移植腎(グラフト)の腎動脈が複数ある場合、各副動脈の再建の要否が問題となる。再建の要否を判断するには、主動脈・副動脈の動脈径や走行さらに各動脈の灌流領域の大きさが重要な指標となるが、これらの指標を術前に客観的に評価する方法はこれまで存在しなかった。このため、動脈再建の基準や方法については各施設や術者によって異なり、特に副動脈を再建あるいは犠牲にする基準については主観的な判断に基づいていた。
本研究で申請者らは、3D画像解析システムによるシミュレーションを用いて複数腎動脈を有するグラフトの各動脈灌流領域を術前に算定する方法を新規に開発した。まず、過去の複数腎動脈を有する症例について後方視的に3Dシミュレーションを行い、副動脈を再建または結紮した症例の副動脈の灌流領域や術後経過の比較を行った。次に、実際の生体腎移植症例で術前に3Dシミュレーションを行い、算定した副動脈灌流域と実際の術中所見の比較を行った。また、腎動脈が3本以上ある複雑な症例に対しても応用が可能か検証した。当初計画していたICGナビゲーションによる副動脈灌流域の正確性の検証と、腎シンチグラムとの融合画像による動脈別の腎機能の測定は達成できなかったが、3Dシミュレーションの実臨床における有用性を十分に確認した。
本研究結果を海外学会で発表したが、当初その有用性について十分な理解が得られなかった。これは、そもそも国内では生体腎移植が多く海外では死体腎移植が多いという背景の違いがあった。また国内では術前シミュレーションを行う事でより精緻で安全な手術が可能になるという一定の認識があるが、海外ではその認識が低かった。このため本研究内容が海外研究者にも理解されるよう工夫し、最終的に査読およびImpact Factorのある外科系英文雑誌に論文を投稿・受理されるに至った。
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Research Products
(1 results)