2018 Fiscal Year Research-status Report
現代民主主義論における時制の理論的特質―政治権力の過去・現在・未来―
Project/Area Number |
17K18297
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Research Institution | Seinan Gakuin University |
Principal Investigator |
鵜飼 健史 西南学院大学, 法学部, 准教授 (60705820)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 民主主義 / 政治と時間 / 政治理論 / 代表 / ポピュリズム / 主権 / 台湾政治 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度の課題は、民主主義の現在が、過去や未来に対してどのような優越性を持ち得るのかを分析することである。本研究ではカイロスにその可能性を見出す。その際、「はじまり」に政治の現在を求めたハンナ・アレントの議論が再検討された。彼女にとって、自由こそ政治の存在理由であり、それは「はじめるという純然たる能力」である。カイロスでは、予見不可能な未来に向けられた活動が、過去と断絶した現在にあり続ける。本研究でまとめられた民主主義の現在に関する理論分析は、現在準備中の書籍の中核的な議論になる予定である。またその概要については、次年度で国内の学術雑誌で発表される見込みである。 本年度は申請者の在外研究年度にあたり、台湾の政治大学政治学系を受け入れ先として研究を行った。その際、主権論における時間的性格に着目した台湾の政治理論を分析した。その成果については、『年報政治学』(日本政治学会発行)で「生きている主権論」というタイトルで発表される予定である。本研究テーマに関する報告については、受け入れ先での国際シンポジウムや定期セミナーで行われた。また当該年度では、イギリスでの資料収集および研究交流が実施された。ロンドン大学クイーンマリー校を訪問し、政治理論分野における第一人者であるラッセ・トマセン博士と交流し、民主主義や時間に関する貴重な示唆を頂戴した。そして、ロンドン大学セナトハウス図書館やクイーンマリー校図書館などを起点として、本邦では入手困難な研究論文を渉猟した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
台湾やイギリスで、時間に関する政治理論について、想定以上の資料を収集することができ、また論考をまとめることができた。また当該年度末には、次年度に予定していたアメリカ出張を前倒して行った。その際、時間に関する基礎的な憲政的な思索を提起したジェファーソンやマディソンに関する、重要な資料を収集することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は本研究課題の最終年度となり、研究成果をまとめる予定である。研究内容としては、時間に関する政治理論を整理し、国内の有力雑誌に投稿する。またその議論を組み込んで、書籍としてまとめる予定である。
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Research Products
(2 results)