2018 Fiscal Year Research-status Report
警察組織の非軍事組織化による職員の意識変化:比国を事例として
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17K18448
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Research Institution | Japan Coast Guard Academy (Center for Research in International Marine Policy) |
Principal Investigator |
奥薗 淳二 海上保安大学校(国際海洋政策研究センター), 国際海洋政策研究センター, 准教授 (30725289)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 軍警察関係 / 組織文化 / 組織社会化 / 政策移転 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度の予定では、調査票を作成し、フィリピンコーストガード職員に配布することとしていた。しかし、初年度の実績にも記述したとおり、フィリピンコーストガードの主要な業務内容の変化により、分離後にも職業的アイデンティティの変化が生じた可能性が否定できない。本年度は、現地調査において、そうした変化の影響について聞き取り調査するとともに、引き続き元長官等へのインタビューを実施した。 その結果として、海難救助や海洋環境の保全といったフィリピンコーストガードの当初の主要業務よりも、テロ・海賊対策、海洋権益確保といった、フィリピン海軍のミッションでもある業務が政治的に注目されており、軍と合同での訓練の必要性について言及する幹部職員も見られた。軍から独立した当初のフィリピンコーストガード職員の専門性は再びフィリピン海軍時代のそれに接近しつつある可能性が改めて示唆されたのである。専門性が職業人のアイデンティティを形成するとすれば、こうした業務内容の変化は無視できない。 他方、フィリピンコーストガードは日本のODAを受けるための受け皿として独立した側面もあることも明確になったことから、フィリピンコーストガードが軍から独立するに当たっての日本からのインプットとフィリピン側の受容について、政策移転の文脈で、国際学会において報告した(International Association of Institutes of Navigation World Congress 2018、査読付き、Proceedings掲載)。 現在は調査票作成の最終段階にあり、フィリピンコーストガード関係者の協力を得つつ、文言調整を実施するとともに、調査票の理論的背景について論文化する予定であり、6月には調査票を回収、分析する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成30年度には実施が完了していなければならなかった調査票の配布が未了であるため、これを早期に実施する必要がある。他方、本研究において一つの目標に掲げていた国際的な発信を平成30年度中に実施できたことは、ポジティブに捉えている。
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Strategy for Future Research Activity |
調査票の配布、回収、集計までを6月中に実施し、簡易的な分析を実施した上で8月頃、質的な追跡調査のためにフィリピンコーストガード本庁を訪問する。
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Causes of Carryover |
平成30年度の計画として、研究協力者とのフィリピン出張を予定していたが、他の用務に併せての出張となったため、助成金による支出が不要となった。また、計画されていた統計ソフトについても、大学の経費から支出されることとなった。 この次年度使用額については、平成31年度のフィリピン調査の旅費に充てるほか、執筆にかかる関連機器、ソフトウエア等の購入、調査票の集計事務等に支出する予定である。
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